ベン・イズ・バックの映画専門家レビュー一覧

ベン・イズ・バック

ジュリア・ロバーツが薬物依存症の息子を持つ母親を演じた人間ドラマ。クリスマスイブの朝、治療施設から息子ベンが突如帰ってくる。しかし留守中にベンのかつての仲間により家が荒らされ、母ホリーは過去を清算するため飛び出した息子を全力で守ろうとする。監督・脚本は「アバウト・ア・ボーイ」の脚本を手がけ「エイプリルの七面鳥」などでメガホンを取ったピーター・ヘッジズ。ピーター・ヘッジズの息子で「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたルーカス・ヘッジズが、怪我した際の鎮痛剤過剰投与により依存症に陥った息子ベンを演じる。
  • ライター

    石村加奈

    「ある少年の告白」でN・キッドマンの息子を演じたL・ヘッジズ(本作の脚本、監督を務めたP・ヘッジズの息子)がJ・ロバーツの強い希望から息子ベン役に。薬物依存に苦しむも、諦めない母に感化されて、生きることを受け容れる息子を好演。パワフルな母子の物語だが、継父との関係性等、物語の途中で明らかになった一家の問題は深刻で、タイトル通りのラストを迎えた時、この家族のその後を想像すると、希望よりも絶望が上回った。愛犬ポンスの扱い(特にラスト)にも若干不満あり。

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    「ある少年の告白」の時は★3つに留めたが、ルーカス・ヘッジズが絶好調だ。今回はドラッグ依存のどら息子を演じ、家族を散々悩ませる。そしてその家族が連れ子夫婦による人工的構造なのが巧みだ。母親役ジュリア・ロバーツは、出来事にたじろぎ、苦しみ、対処するリアクション演技で素晴らしい成果を得た。母と息子の地獄巡りに、観客は事態が解決に向かうのか悪化しているのか?みかねたまま、手に汗握るしかない。部分的にはカサヴェテス映画のテンションにさえ達している。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    この前、薬物依存の息子と向かい合う父親の映画を観たばかり。今回は母親が息子を守ろうと奮闘。J・ロバーツが久しぶりに芝居どころがある役を熱演。最近、問題児を続投のL・ヘッジスが静かな好演。一見、穏やかなこの青年が、またクスリに手を出すんじゃないか。そのはらはらで物語を引っ張る。「ギルバート・グレイプ」の原作・脚本者が監督。そのせいか、演出は冷静的確。大人の感覚があるが、丁寧に描きすぎて少し間のびした印象も。母親映画だけど義父の存在が薄いのが気になる。

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