ベン・イズ・バックの映画専門家レビュー一覧
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ライター
石村加奈
「ある少年の告白」でN・キッドマンの息子を演じたL・ヘッジズ(本作の脚本、監督を務めたP・ヘッジズの息子)がJ・ロバーツの強い希望から息子ベン役に。薬物依存に苦しむも、諦めない母に感化されて、生きることを受け容れる息子を好演。パワフルな母子の物語だが、継父との関係性等、物語の途中で明らかになった一家の問題は深刻で、タイトル通りのラストを迎えた時、この家族のその後を想像すると、希望よりも絶望が上回った。愛犬ポンスの扱い(特にラスト)にも若干不満あり。
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映像演出、映画評論
荻野洋一
「ある少年の告白」の時は★3つに留めたが、ルーカス・ヘッジズが絶好調だ。今回はドラッグ依存のどら息子を演じ、家族を散々悩ませる。そしてその家族が連れ子夫婦による人工的構造なのが巧みだ。母親役ジュリア・ロバーツは、出来事にたじろぎ、苦しみ、対処するリアクション演技で素晴らしい成果を得た。母と息子の地獄巡りに、観客は事態が解決に向かうのか悪化しているのか?みかねたまま、手に汗握るしかない。部分的にはカサヴェテス映画のテンションにさえ達している。
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脚本家
北里宇一郎
この前、薬物依存の息子と向かい合う父親の映画を観たばかり。今回は母親が息子を守ろうと奮闘。J・ロバーツが久しぶりに芝居どころがある役を熱演。最近、問題児を続投のL・ヘッジスが静かな好演。一見、穏やかなこの青年が、またクスリに手を出すんじゃないか。そのはらはらで物語を引っ張る。「ギルバート・グレイプ」の原作・脚本者が監督。そのせいか、演出は冷静的確。大人の感覚があるが、丁寧に描きすぎて少し間のびした印象も。母親映画だけど義父の存在が薄いのが気になる。
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