アナと世界の終わりの映画専門家レビュー一覧

アナと世界の終わり

世界各国のファンタスティック映画祭で上映されたホラーミュージカル。イギリスの田舎町の高校生アナは、パッとしない生活から抜け出すため世界を旅しようと計画していた。しかしそれを知った父と大ゲンカに。翌朝、アナは幼馴染と通学中にゾンビに襲われる。出演は、「スティールワールド」のエラ・ハント。第50回シッチェス・カタロニア国際映画祭ミッドナイト・エクストリーム部門最優秀作品賞受賞。
  • ライター

    石村加奈

    「ハイスクール・ミュージカル」のゾンビ版といった感。ロディー・ハートとトミー・ライリーのパワフルな音楽が愉しい。目にも楽しいヒロイン・アナを演じたエラ・ハントをはじめ、ジョン役のマルコム・カミング、ステフ役のサラ・スワイヤー(振付けも担当)らの本格的な歌やダンスも見応えあり。若者に負けじとばかりに、クレイジーなパフォーマンスを披露するサヴェージ校長(ポール・ケイ)にも注目されたい。無粋を承知で言えば、やはりクリスマス・シーズンに観たかったなあ!

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    ハイスクールミュージカルに「~・オブ・ザ・デッド」と接ぎ木してあげるだけで新ジャンル誕生という世の中だ。どうせ人類文明はそろそろ終わる。ならばナンセンスと戯れつつ踊り続けよう。そんなニヒリズムが画面を貫く。演出の境界は明確だ。世界が終わろうと、人物の動線は自宅・高校・ショッピングセンターだけで形成される。世界滅亡をB級ジャンルとして捉える史観だ。ヒロインの彼氏のセーターが、ゾンビ化してもなおクリスマスの電飾できらきら明滅する情緒にほろりとする。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    いまや食傷を通り越して食中毒を起こしそうなゾンビ物も、味付けを変えるとまだまだいける。出だしがハイスクール・ミュージカルのセンス。歌曲がロック&ポップ調ということもあってけっこう胸躍る。いざゾンビ登場となると、おやおやまたかいなの展開となるが、随所に歌が入るので、いつもの陰々滅々ムードが和らぎ助かる。ただ結末になるにつれ、ヒヤヒヤドキドキに重点が移るのが残念。ミュージカルなんだから、もう少し飛躍した趣向がほしく。ゾンビ諸君の集団舞踏てな場面とか。

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