パージ:エクスペリメントの映画専門家レビュー一覧

パージ:エクスペリメント

一年に一晩(12時間)だけ殺人含む全犯罪が合法になる法律・パージ法を活写した「パージ」シリーズの前日譚。経済が崩壊したアメリカで政権を持ったNFFAは犯罪率抑制のためパージ法を採用。全国適用を前にニューヨーク州スタテン島にて実験が行われる。監督は「フルートベール駅で」で共同プロデューサーを務めたジェラード・マクマリー。「パージ」を手がけたジェームズ・デ・モナコ監督が脚本を担当する。また、「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイや「ゲット・アウト」のジェイソン・ブラムが製作として参加。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    「パージ法」が試験的に発令されていきなり殺し合いが始まるわけではなく、とりあえずみんなパーティーを始めちゃうというのがすごいリアリティ。そのあとひとひねりあってからまさかの展開、マイノリティによるアツいレジスタンス映画になる。感情移入できる登場人物を最初に複数提示することで、観客が当事者感覚を持てるよう工夫されているし、ここぞというアクション場面の撮り方もなかなか迫力あるのだから、ある種のホラー映画によくあるこけおどし的な音の演出は勘弁願いたい。

  • 映画監督

    内藤誠

    経済が破綻し、犯罪が増えるのを抑止するためにアメリカ政府はニューヨーク州スタテン島で、12時間、殺人を含む犯罪をしてもよいという「パージ法」を実行。参加者には5千ドルを支払うという、とんでもない話だが、アメリカの貧困層対策として奇妙なリアリティがあって怖い。実験時間中は仮面をつけた群衆や反政府デモ、右翼や暴力団の出動で、アナーキーな大混乱。ジェラード・マクマリー監督の演出もメリハリが効いているのだが、見終わったあとはアメリカという国にあきれはてる。

  • ライター

    平田裕介

    第1作こそ白人中間層の生活圏が舞台のホラーだったが、前2作はパージで淘汰される弱者たちの対抗組織と権力側の戦争映画とも呼べる仕上がり。今回もそれっぽくはあるが、立ち上がるのが“レペゼン、スタテン島”を掲げるギャングなのがミソ。パージで敵対組織に襲われると警戒するつもりが政府の思惑に気づき、地元愛と正義に目覚めて銃を取るという展開に燃えに燃えてしまった。今回も倒されてしまうのが惜しい優れたキャラのパージャー(参加者のこと)がワンサカなのも◎。

1 - 3件表示/全3件