ある女優の不在の映画専門家レビュー一覧

ある女優の不在

第71回カンヌ国際映画祭コンペ部門脚本賞を受賞したミステリー。人気女優ジャファリのもとに見知らぬ少女から動画が届く。そこには、女優の夢を断たれた少女が自殺する直前の姿が映っていた。ジャファリは友人の映画監督パナヒと共に、少女が住む村に行く。監督・脚本は、「人生タクシー」のジャファル・パナヒ。出演は、「ブラックボード 背負う人」のベーナズ・ジャファリ。
  • ライター

    石村加奈

    女優の未来を家族の裏切りで絶たれ、家出した少女。少女の命懸けの連絡に戸惑いながらも、撮影を中断して少女の村へ駆けつける人気女優ジャファリ。訪ねた村でジャファリは、隠遁生活を送る往年のスター女優と出会う。曲がりくねった一本道をたどった先で顔を合わせた、本来の居場所に「不在」の3人の女(巧い邦題!)の様子を、映画は意図的に見せない。対するジャファリの帰途を阻む絶倫雄牛や割札の伝統等、長々語られるバカげた男性的エピソードとのギャップ! シュールだ。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    パナヒは、不屈の監督だ。この10年、イラン政府から映画制作を禁じられているが「これは映画ではない」と嘯き、虚実の壁、政府の圧力を軽々と超えた作品を発表し続けている。そのトリッキーなタフさたるや。本作でも“本人”として出演、「自撮りしながら首吊り自殺した女優志望の少女の映像」の真偽を確かめるため、少女に名指しされた女優ジャファリ(本人)と共に虚実皮膜な旅に出て、イランの映画史、現在を浮き彫りにし、さらには未来にまで言及する。リスペクトしかない。

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