オーヴァーロードの映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
あまり製作費をかけてない戦争映画だなあと思って観ていたら、別のジャンルの要素が流れこんでくるのだった。とっちらかしたままの要素がいくつかあるのが気になるものの、基本的には、撮影所時代に撮られていたBムービーのテイストをうれしく甦らせた映画。キャストの知名度は高くないが、心根の優しい主人公を演じるJ・アデポ(D・ワシントンの「フェンス」で長篇映画デビュー)も、折り紙付きの血統のW・ラッセルも、ヒロインのM・オリヴィエも魅力的で、今後伸びてきそう。
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映画監督
内藤誠
ノルマンディー上陸作戦の大作をいろいろ見てきたので、冒頭の米軍機内で落下傘部隊の兵士たちが話す会話の内容が軽く、いざ戦闘場面に突入しても画面はB級映画予算だなと思って見ていると、ターゲットのナチス軍陣営のなかに白衣のマッド・サイエンティストが登場。占領下のフランス人を実験材料にして、「ヒトラー千年王国」をつくるための肉体改造の血清を完成する物語が始まる。あげくは人面メイクのすごいホラー映画に転じるので、びっくり。B級ファンはこれでいいと満足するかも。
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ライター
平田裕介
輸送機の床を簡単に撃ち抜くナチス・ドイツの対空機関砲。兵士たちがグズグズの肉片と化すなかでのパラシュート降下。機関砲から放たれた曳光弾が飛び交い、高射砲の砲弾が炸裂しまくるなかでの空中降下。空中版「プライベート・ライアン」とでも呼びたくなる導入部で早くもアガった。降りてからはホラーへ移行するが“小隊もの”の雰囲気をキープしており、そのハイブリッドぶりも巧みで文句なし。トンプソン機関銃の派手な発火炎や快調な排莢も◎。B級的世界を堪能できた逸品だ。
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