無双の鉄拳の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
もちろんマ・ドンソクの重量感あふれるアクションが最大の見どころだが、あまり見たことのないタイプの悪役が造形されているのも注目すべき点。一方、往年の日本映画を奇妙に想起させる肌触りがあって、とても不思議な感慨を覚えた。大暴れのコメディリリーフ二人は、昭和日本の喜劇映画に見られるノリを思わせるし、登場人物の誰それがブチ切れたとかを飛び越えて、もはや映画自体がブチ切れているかのようなクライマックスは、70年代東映アクションのいくつかに通じる面白さがある。
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映画監督
内藤誠
大きな体で頼りがいのあるマ・ドンソクが突然、正義のために爆発して、怒りの鉄拳をふるうのを期待して見るわけだが、今回は愛妻ソン・ジヒョと平穏な生活を送ろうとして魚市場で働いているところからはじまる。韓国の要請でWTOが日本の水産物規制を容認したばかりなので、つい画面に見入ってしまう。ひねくれた悪役を怪演するキム・ソンオが整形した美人を富裕層に売る組織の話といい、キム・ミンホ監督は時局的ネタにも気配り。笑いとカーアクションもあり、大サービス。
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ライター
平田裕介
まずは敵の設定が見事。どこまでも異常で卑怯で冷酷なコイツにとことん振り回されるからこそ、中盤からの追撃が否応なく盛り上がる。マ・ドンソクが繰り出す肉弾戦も、ステゴロによる雑魚どものなぎ倒し、武術の心得があるらしきキッカーとの対峙、同じような巨漢とのハイパワーな激突とバラエティに富んでいる。さらに、妻に叱られてしょげるドンソク、ウキウキで彼女にケーキを運ぶドンソクといった具合に猛って暴れ回る以外の姿も拝めてキュンとさせてくれるのも文句なし!
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