#ハンド全力の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
川口敦子
「全力」で「頑張る」「運動部」とか、「被災地」とか、安易なイメージのお仕着せの嘘。全力も頑張るも青春も被災地も鵜呑みにされた何かからまず解き放とうという監督、脚本の発想は素敵だと思う。あるいは「応援される側」の本当に目を凝らそうという意図、ホントにいいことよりよさそうに見えることが大事なSNSの嘘へという眼の付け所、はたまた先生役の安達祐実まで子役出身俳優を揃えてみるというアイディアも。そんな構成要素を束ねて大きな力にし切れていないのが惜しい。
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編集者、ライター
佐野亨
水曜日はべつの用事に消えたため、木曜日の午前中にこの映画を観た。ハッシュタグ付きのタイトルからもわかるとおり、インスタグラムが物語を動かす重要なツールとなる。一方で、少年たちがつどう体育館倉庫や銭湯といった空間、その「三密」具合に、現在の状況との乖離を感じずにはいられなかった。この映画のようにSNSでのつながりが強化され、またいまのように配信での映画鑑賞が常態化すると、ひとびとの心の距離感はどう変わるのか。そんなことを思った。
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詩人、映画監督
福間健二
「被災地」熊本県とハンドボール協会からオファーがあっての企画で、こんな話。「頑張るフリ」からマコト、というふうに持っていこうとしているのだろうが、フリじゃないところでも演技の作った表情しか見えないのが厄介。「青春と並走してきた」という松居監督、自信がありすぎて計算違いか。「適当に逃げて、いい気になってる」と批判される役の加藤清史郎は、ずっと「ごめん」と謝っているような表情。ヤラセが暴かれた「炎上」のあとに並ぶ深刻顔のウソっぽさ。すっきりしない。
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