パリに見出されたピアニストの映画専門家レビュー一覧
パリに見出されたピアニスト
路地裏で生きる青年と、彼のピアノの才能を見出した大人たちのヒューマンドラマ。駅に置かれたピアノを弾くマチュー。その演奏を聴いた名門音楽学校のディレクター、ピエールは、彼をピアニストとして育てようと声をかける。しかし、マチューは去ってしまう。出演は、「アスファルト」のジュール・ベンシェトリ、「神々と男たち」のランベール・ウィルソン、「フランス組曲」のクリスティン・スコット・トーマス。監督・脚本は、本作が長編3作目となるルドヴィク・バーナード。
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映画評論家
小野寺系
ちょっといまの時代に撮られたとは思えないほどの、ひねりのないド直球の苦労人サクセスストーリーで驚いてしまった。型にはまった展開がいちいち予想できてしまうのがつらいものの、演奏時の静かな間など、場面ごとの見せ場をゆったり堂々たる演出で見せきっているのには感心しきり。 キャストも良く、とりわけクリスティン・スコット・トーマス演じるピアノ教師“女伯爵”の存在感が素晴らしい。主演の男の子ジュール・ベンシェトリは、ジャン=ルイ・トランティニャンの孫だという。
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映画評論家
きさらぎ尚
自分の指で未来を拓くが主題のこの映画、ストーリーはありきたりの成功物語だが、俳優と、ラ・セーヌ・ミュージカルなどのロケーションを含むパリの風景、ラフマニノフ『ピアノ協奏曲2番』などの名曲とで、一応の体裁は整えている。が、目的地点、つまり成功に到達するまでは、エピソードが予定通りに積み重ねられていくので、もうひと工夫欲しい。横顔の、額から鼻筋にかけての輪郭に祖父J=L・トランティニャンの面影がにじむJ・ベンシェトリの今後に期待して★ひとつ進呈。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
人混みの早回しを長々と見せたり、警察との追っかけっこを妙にポップに演出したり、冒頭からしてなんかダセえ……と嫌な予感はしたものの、その後の展開はそれなりに丁寧で、このままラスト上手く盛り上がってくれればイイ映画になるのかなあと思ったが、その思いは見事裏切られ、無造作に次々と障害を置いていくだけのあまりに雑なクライマックスには呆れてしまった。主人公をゴリゴリのヤンキーにして全体をB級ノリに舵切りしていれば安さ爆発の終盤もむしろ美点になり得たのだが。
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