IT/イット THE END “それ”が、見えたら終わり。の映画専門家レビュー一覧

IT/イット THE END “それ”が、見えたら終わり。

S・キングの小説を原作とする2017年のホラー映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の完結編。前作から27年後、デリーで連続児童失踪事件が再び発生する。かつて“それ”と対峙したビルとルーザーズ・クラブの仲間たちは町に帰ってくる。ビル・スカルスガルドが再びペニーワイズを演じるほか、「ミスター・ガラス」のジェームズ・マカヴォイ、「モリーズ・ゲーム」のジェシカ・チャステインらが出演。監督は、前作に引き続きアンドレス・ムシェッティが担当。
  • アメリカ文学者、映画評論

    畑中佳樹

    前作は少年少女がとびきり怖い体験をするジュヴナイルだったが、今回は27年後に再集合した一同が思春期をもう一度卒業し直す泣かせる青春映画。極限の想像力をVFXの職人芸が克明に具象化する恐怖演出のあの手この手はゴージャスそのもの。女陰や膣のイメージ群が少年の性夢を思わせ、子供は大きなものが恐しかったのだと記憶を再生してくれる。メッセージは「エルム街の悪夢」以来の「それはあなたの心の中にいる。」前作と合わせて今後何十年も反芻できる汲めども尽きせぬ宝物映画!

  • ライター

    石村加奈

    大人になったルーザーズの面々が、27年後に再びデリーに結集するリアリティが、前作からうまく引き継がれている。それは忘れられない子供の約束ではなく、恐ろしいピエロの記憶という消せないトラウマだ。本作から加わった美術のポール・デナム・オースタベリーが、1989年と現在を行き来するストーリーにリアリティをもたせる世界観を構築。特に最後の戦いの舞台は圧巻だ。続篇というハンデを払拭したホラー映画だが、やはり田舎の冒険には大人より子供たちの方が似合うなあとも。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    原作はキングの中でも上位に入る傑作。何よりその構成が秀逸で、子供時代と大人時代、時を超えた〈IT〉との対決が同時進行で語られる。その「視点」のやり取りが相乗効果で、この「大人への恐怖」を軸とした成長物語を得もいえぬ感動巨篇にまで昇華していた。この映画化作品は前後篇とし、大胆に「子供篇」と「大人篇」に分断して描いた。その整理された構成が功を奏しアトラクション的ホラーとしての完成度は高いが、私が読みながら号泣した“あの光景”とは似て非なるものだった。

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