ブラインドスポッティングの映画専門家レビュー一覧

ブラインドスポッティング

サンダンス映画祭、SXSW映画祭などで上映された社会派ドラマ。保護観察期間が残り3日間となった黒人コリンと、幼馴染で問題児の白人マイルズ。黒人男性が白人警官に背後から撃たれるのをコリンが目撃したことをきっかけに、二人の関係が試されることに。脚本・主演は、ミュージカル『ハミルトン』でトニー賞を受賞したダヴィード・ディグスと舞台脚本家のラファエル・カザル。監督は、本作が長編第1作となるカルロス・ロペス・エストラーダ。
  • 映画評論家

    小野寺系

    富裕層が移り住み、高級化が著しいカリフォルニア州オークランドの現在。彼らの移住は、もともとそこで暮らしていた人々の生活を様々な意味で揺るがし、分断すらしていく。そこにあるのは格差問題なのか、それとも人種問題なのか。“ブラインドスポッティング”というタイトルを名乗る本作は、まさにその手法によって、描くべき問題を同時に重ねて映し出そうとする。その試みの複雑さとユニークさが素晴らしく、本作はオークランドを代表する映画になっていくのではないだろうか。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    B-wayミュージカル『ハミルトン』でトニー賞受賞のD・ディグス主演と知り期待が募る。そして映画には米国の現実がぎっしり。黒人居住区を警官から自衛する目的の、ブラックパンサー党結成の地オークランドが舞台という点に意味があり、街に密着して炙り出す生な現実に、脚本・主演の二人の気骨もくっきり。ドラマは切れ味鋭く軽やか。映像・音楽はクール。結末には救われるが、併せて党結成の’60 年代から何ら解決されないままに複雑化した現実も突きつける。期待以上の見応え。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    人種差別への問題提起は咀嚼し切れない部分が残るけど、映画の持つドライヴ感が心地よく、アメリカのリアルを描いた社会派要素と、キレのいいコメディ要素をヒップホップな味付けで均衡を崩さず接着させる手捌きはすごく達者で、スパイク・リーのような暑苦しさがないのも好印象。主人公と友人の間で日常的に交わされるラップが見どころの一つなのだが、字幕は頑張って韻を踏んでたとはいえ、こういうのはやっぱりネイティブな英語を聞き取れないと楽しめないんだろうなあと思った。

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