アスリート 俺が彼に溺れた日々の映画専門家レビュー一覧

アスリート 俺が彼に溺れた日々

「マンハント」などで活躍する国際派俳優ジョーナカムラと、twitterのフォロワー数26万人を超えるジェンダーレス男子こんどうようぢの共演で、LGBTの世界を描くドラマ。妻から離婚を切り出された海堂航平は、失意の中、美少年の悠嵩と出会う。メガホンを取ったのは、「適切な距離」の大江崇允。
  • 評論家

    上野昻志

    悠嵩に扮したこんどうようぢの、一見儚げでありながら、毅然としたところのある佇まいが魅力的だ。だから、航平(ジョーナカムラ)が、彼に惹かれるというのは、わかるのだが、それが「溺れる」というほどになる、そのあたりの心の動きが、いまひとつ不明。むろん、それは言葉で語られるべきことではなく、航平の暮らしのありようから示される必要があるが、そこが弱い。LGBTの当事者が見れば、そんなこと吹っ飛ばして共感するのだろうが。カフェのママのプリシアが格好よかったけれど。

  • 映画評論家

    上島春彦

    実はLGBTという言葉の意味を初めて知った。それプラスQも。これがニクい。俺はQかも。知らない人は反省しつつこれを見なさい。妻に捨てられた中年男がふとした勢いで美少年と恋に落ちる。男は何とか娘に情況を理解してもらえる。病床の父に自分の性的嗜好を伝えられない美少年は、さてどうなるという話。撮影が素晴らしく、かなり得している感じ。ドラマ構成上やむを得ないのだろうが、わざわざ海岸でセックスする必要あるのかな。それと結構お説教臭い。これは大きな欠点。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    タイトルは軽薄に見えるが、繊細に作り込まれた画面に引き込まれる。安易にLGBTが作劇に盛り込まれがちな昨今、男同士だからこうなるはずだという偏見も、周囲が過剰に反応することも、理解が良すぎる善人ばかりというわけでもなく絶妙な配分で性差を無効にする普遍的な恋愛劇として撮られているのが良い。主人公が娘にカムアウトする場面の処理はまさに象徴的。梅垣義明が「東京ゴッドファーザーズ」の延長と言ってしまえばそれまでだが、悪ノリすることなく脇で存在感を見せる。

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