スペインは呼んでいるの映画専門家レビュー一覧
スペインは呼んでいる
スティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンのコンビが世界各地を旅する人気コメディの第3弾。仕事も人生も成功を収めながらも、悩みの尽きないスティーヴとロブの2人が、スペインを巡る旅へ。名所を巡り、グルメを堪能しつつ各地で繰り広げる珍道中の結末は?監督は「イン・ディス・ワールド」でベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた名匠マイケル・ウィンターボトム。
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アメリカ文学者、映画評論
畑中佳樹
英国人中年男二人がスペインを旅しながら何をするか。お喋り怪獣よろしくひたすら喋りまくる。美食、絶景、伝説の古城に目を見張るのは観客に任せて、当の二人は旅そっちのけで馬鹿話、与太、蘊蓄、映画の物真似、まくしたて放題の駄弁雑言三昧境。私がもし三人目の同行者だったら発狂している。英国人ってこうだよねと思ったり、英語が世界を征服したのはこいつらのせいかと思ったり。どうしても映画になりきれない映画未満の旅を描いている、というのが面白い、のか?
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ライター
石村加奈
前作のイタリアから、今回はスペインへ。スティーヴ&ロブコンビの丁々発止は、どこへ行っても健在だ。エスプリの効いたトークと、似ているかどうかはさておき、ゴキゲンなおっさんずモノマネ合戦も楽しそうで何より……と傍観していたら、息子のドタキャン辺りから雲行きが怪しくなって、まさかの結末へ。作中、何度も繰り返され、いささか食傷気味になっていた、中年男の夢落ち話も、爆笑グルメトリップからリアルな物語へと繋ぐ、素晴らしい伏線に。マイケル・ウィンターボトム健在だ。
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映像ディレクター/映画監督
佐々木誠
同業の友人と旅して、行く先々の美味いものを飲食しながらバカ話を繰り返すのが何よりも好きだ。本作はそれをまんま描いていて個人的に最高なのだが、これが(雑な言い方だが)ちゃんと「面白い映画」になっているのが凄い。ウィンターボトムは、実在の人物や事柄をフィクションに入れ込むのが本当に上手いな、と。マルチカメラでアドリブ長回し、その役者間のリズムを編集のリズムに合わせ、さらに絶妙なタイミングで伝家の宝刀ナイマンの〈Molly〉を重ねる職人技の気持ち良さ。完璧。
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