フォードvsフェラーリの映画専門家レビュー一覧

フォードvsフェラーリ

1966年、ル・マン24時間耐久レースで絶対王者フェラーリ社に挑んだフォードの戦いを活写した伝記ドラマ。ル・マン勝利の社命を受けたカー・エンジニアのシェルビーは、資金も時間も限られる中、破天荒なイギリス人レーサー、マイルズと不可能に挑戦していく。監督は「LOGAN/ローガン」のジェームズ・マンゴールド。「オデッセイ」のマット・デイモンと「バイス」のクリスチャン・ベイルが主演し、意地とプライドをかけた挑戦に臨む不屈の男たちを演じる。第32回東京国際映画祭特別招待作品。
  • ライター

    石村加奈

    シェルビーがスピーチで話していた、彼の父親の言葉を体現したような、幸せな男たちの友情物語だ。やりたいことを仕事にでき、成功するまで努力することを許された環境下では、7000回転の世界で突きつけられる「お前は誰だ?」という問い自体が愚問なのだろう(ケンの夢を応援する妻を演じたC・バルフ、いい女!)。破天荒キャラ・ケンの方がオトナに見えてくる、後半のシェルビーの悪戯レベルアップにどきどきしつつも不幸な男が似合うC・ベイルのパーフェクトな役作りには脱帽。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    主要な登場人物全員が負け犬、という始まりから熱い。タイトルこそ「vsフェラーリ」だが、内容はほとんど「フォード経営陣vsレースカー開発チーム」だ。ル・マンでの打倒フェラーリの為にフォードに雇われたシェルビーら開発チーム。純粋なレースでの勝利、スピードの限界へ挑戦する彼らと企業としてマーケット戦略での勝利に固執する経営陣との“負け犬の戦い方”の相違、軋轢。壮絶なレースの終盤、その全ての戦いに答えを出すドライバーのケンの選択に新しいカタルシスを感じた。

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