マイ・ビューティフル・デイズの映画専門家レビュー一覧
マイ・ビューティフル・デイズ
「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメが、女性教師に秘かに恋心を抱く学生を演じる青春ドラマ。行動障害を抱える高校生ビリーは、ある週末、演劇大会に参加するため、スティーヴンス先生とクラスメイトのマーゴット、サムと共に車で出かけるが……。共演は「バイス」のリリー・レーブ、「ガルヴェストン」のリリ・ラインハート。『キーピング・ルーム』の脚本を手がけたジュリア・ハートによる初監督作。
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映画評論家
小野寺系
結ばれ得ない二人が、喪失感や孤独感にさいなまれている瞬間に、ほんの一瞬交差し共鳴する姿が切なく美しい。スケールが小さく、あまりにあっさりとしていてロードムービーとも呼びにくい小品だが、そのつつましさが作品にリアリティと愛らしさを与えているのも事実。リリー・レーブが見事に実在感をもって演じる主人公、スティーヴンス先生ならずとも、ティモシー・シャラメが演じる少年に象徴される、われわれが日々失いゆく“純粋さとパッション”には心動かされるだろう。
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映画評論家
きさらぎ尚
ドラマチックなことが起きるではなく、特別な仕掛けもない普通の話に、ごく当たり前に気持ちが反応し、共感できる。各人のキャラクターの根っこになっているものをきちんと押さえているのがその要因。引率教師の情緒不安定は母親を亡くした喪失感。リーダー的な女子は才気が空回り気味。ブレイク前のシャラメが演じる生徒には行動障害が。ゲイであることを表明している生徒は実際の恋愛に奥手。学校から離れた3日間で各人が抱える事情が露わになるが、その見せ方が◯。てらいがない。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
今やみんなのアイドル、シャラメ君が大ブレイクする以前に製作された小品で、悪い映画とは思わないし、ハマる人にはハマりそうなムードはあるのだけれど、個人的には殆ど響かない内容だった。心に闇を抱えた高校生と女教師の物語という時点でドキドキしてしまうのは自分のポルノ脳ゆえで、そっちの期待に応えてくれないのは仕方がないが、キャラクターに力がなく、演出も間違っているとは思わないものの、カット割り等に監督の意思が感じられず、90分に満たない尺が長く感じた。
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