フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めての映画専門家レビュー一覧

フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて

イギリス音楽チャートを賑わせた漁師バンド、フィッシャーマンズ・フレンズの実話を映画化した音楽ドラマ。浜辺でライブをしていたフィッシャーマンズ・フレンズを旅行中に偶然見かけた音楽マネージャーのダニーは、上司に命じられ彼らと契約を結ぼうとする。監督は「キッズ・イン・ラブ」のクリス・フォギン。「シンクロ・ダンディーズ!」のダニエル・メイズ、「輝ける人生」のデヴィッド・ヘイマン、「わたしは、ダニエル・ブレイク」のデイヴ・ジョーンズらが出演。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    固有の場所や歴史、生活から自然発生したものの在り方は正しい。作者不詳で絶対的な目的や機能が備わっているから。一方、音楽やアートと暫定的に呼ばれるものは、本来のそれらは失われ、生み出すという欲望本能の充足が目的だ。後者は前者に対峙すると敗北する。むしろその前では敗北することが存在意義である。現代の我々は錨を失った船のようだ。レーベルや会社、もしくは神や自然か、私たちは一体誰と契約するのか。彷徨い漂い、しかし航海は続けなければならない。

  • フリーライター

    藤木TDC

    無欲な人々の芸術的成功と都会に疲弊したエグゼクティブの田舎での幸福発見をミックスした口当たりのよい人情ファンタジー。「事実に基づく」と謳われるが、キナ臭い部分が相当レタッチされていると思われ、あまりに性善説的な物語は毒づきたい邪念を膨張させる。D・ボイルの「イエスタデイ」もそうだが、社会批評性のある大衆音楽を巧妙に非政治化してカウンターマインドを骨抜きする商業主義は狡猾さを感じ腹立たしい。漁師合唱隊にも世に訴えたい主張があったはずなのに。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    実話の映画化が大流行していて、「事実は小説より奇なり」を地でいく?然とする状況を描いた作品が大量に生産される中で、こういう小粒なものも出来てしまうんだなという印象。「漁師の男たちの歌が思いがけず売れた」というワンシチュエーションに付随する演出や些末の物語は、ありきたりな使い古されたものばかりで弾けない。主人公を演じるダニエル・メイズに、映画を牽引していく魅力が乏しいのも問題だ。設定に意外性がまったくないので、細部にもう二捻りは工夫が欲しい。

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