黒い司法 0%からの奇跡の映画専門家レビュー一覧

黒い司法 0%からの奇跡

冤罪の死刑囚たちのため闘った弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を「ショート・ターム」のデスティン・ダニエル・クレットン監督が映画化。不当な扱いを受ける黒人死刑囚を助けようと、数々の差別と不正が立ちはだかる中弁護士ブライアンは奔走する。ブライアン・スティーブンソンが著したノンフィクション『黒い司法 死刑大国アメリカの冤罪』をベースにしている。絶望の淵に立つ人々に寄り添いながら闘う新人弁護士ブライアンを「クリード 炎の宿敵」のマイケル・B・ジョーダンが、不当な判決を受ける死刑囚ウォルターを「Ray/レイ」でアカデミー賞に輝いたジェイミー・フォックスが、ブライアンと共に黒人死刑囚を助けるエバを「ルーム」でオスカーを獲得したブリー・ラーソンが演じる。
  • ライター

    石村加奈

    死刑囚監房内で、死ではなく、生きることを考えるのと同じく、司法制度に逆らって正義を貫くことは過酷である。しかし、M・B・ジョーダン扮する本作の主人公ブライアンはあかるい。彼の陽気さには、原作(ブライアン本人が綴った奮闘記)に因れば、母に連れられて通った教会音楽の力が大きかったのだろう。本作でも、聖歌隊の思い出や〈The Old Rugged Cross〉をはじめ、神々しい賛美歌が、ブライアンに希望を贈り、死刑囚ウォルター(J・フォックス!)を創造的に変えてゆく。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    無実の罪で死刑宣告をされた平凡な黒人の男の実話。証拠が一切ない、明白な冤罪がなぜ立証されないのか、というもどかしさ。彼の弁護を黒人の若き弁護士が引き受ける。ほとんど勝ち目のない理不尽な戦い、その裁判のためのやり取りの中で、弁護する側される側を超えた関係が確立していく過程が熱い。最終判決のあっけなさのリアリティ、そしてこの事件が今も続く黒人死刑囚の冤罪のほんの一部の例、という事実。それらが法廷劇のカタルシスを超えた余韻を残す。

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