グリーン・ライ エコの嘘の映画専門家レビュー一覧
グリーン・ライ エコの嘘
“環境に優しい”と言われる商品の実態に迫るドキュメンタリー。ドキュメンタリー作家のヴェルナー・ブーテは、ジャーナリストのカトリン・ハートマンと共に、“サステナビリティ”という言葉の下、世界中で食品に利用されるパーム油の真実を探る旅に出る。作中には、テキサスの反グローバリゼーション運動家ラージ・パテルやマサチューセッツ工科大学の言語学名誉教授ノーム・チョムスキーなどが登場。
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映画評論家
小野寺系
同じくノーム・チョムスキーが登場するカナダのドキュメンタリー「ザ・コーポレーション」(04)の内容に近く、企業の本質を見極める深度については後れをとっているものの、あくまで一消費者の立場に立って現地の惨状を伝える姿勢は美点。石油会社の鬼畜の所業を告発したのも素晴らしい。環境破壊問題についての意識が低く自国民の人権の保障すら危ういと感じられる日本においては、エコ商品に疑念を持つという前提からして、いまはレベルが高い話だと思えてしまうのがつらい。
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映画評論家
きさらぎ尚
ゴミの減量、脱プラなど、個人的にも暮らしの中でエコの意識が高まってきた昨今ではある。けれどこの映画は、そんなレベルからは見えないところで巨大企業が行なっている欺瞞を暴き、衝撃の事実を明示する。薄々、想像はしていたがやはりそうだった……。作中、チョムスキーは言う。「大量消費主義を取り除かなくてはならない」と。理解はするも、我が暮らしに向き合うと、難題多し。記録されたシュールとも見える光景に驚愕しつつ、東京電力福島第一原発の汚染水処理問題が頭をよぎる。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
的確に問題提起をしている現代的かつ意識の高い映画だと思うし、言ってることに反論する気もないのだが、原っぱでレジャーシートいっぱいの自然食とワインを嗜みながら寝転がってインタビューを敢行するセレブリティな監督の姿や、劇映画ばりに安定したカット割りが施された雑味も淀みもなさすぎる会話シーン、予め用意された結論に向けて段取られているようにも見える構成等にドキュメンタリー映画として胡散臭いものを感じてしまった自分はきっと意識低い系の人間なのだと思う。
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