アンナ・カリーナ 君はおぼえているかいの映画専門家レビュー一覧

アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい

2019年に亡くなったヌーヴェル・ヴァーグのアイコン、アンナ・カリーナの生涯に迫ったドキュメンタリー。1940年9月22日、アンナはコペンハーゲンで、船長の父と19歳の母の間に生まれる。やがて天涯孤独の身となった彼女は、パリへ向かうが……。アンナの夫デニス・ベリーが、「アンナへのラブレレター」として万感の思いを込めて作り上げた。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    60年代ゴダール作品のミューズとしてだけではなく、あまり振り返られる機会がない、監督や作家や歌手としても活動した「その後」のアンナ・カリーナも人々の記憶に留めたい。そんな彼女の4番目の夫デニス・ベリーのパーソナルな想いが結実。亡くなる2年前の作品なので、過度に感傷的でないところには好感が持てるが、作品の成り立ちはあくまでもフランスやドイツで放送された55分のテレビ番組。そして、やはりどうしても目に焼きつくのはゴダール時代の圧倒的な輝きだ。

  • ライター

    石村加奈

    ゴダールのミューズだったアンナ。その最期は6人目の夫に看取られたとニュースで読んだが、本作を撮ったのは4人目の夫D・べリー監督!?しかも監督自ら語るナレーションは、進行形のラブラブぶりで(17年製作)謎は深まるばかりだが、それも彼女らしいのかも。つい作品の背景に思いを馳せてしまうのは、ゲンスブールの曲を口ずさむ若き日の姿然り、赤裸々な昔話を、カフェでこともなげに聞かせる近影の彼女然り、一貫したアンナの魅力ゆえ。「自分の人生を生きる」を体現したアンナに献杯。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    不遇な幼少期を過ごした故国から脱出しモデル、女優、歌手、映画監督、そして小説家にまでなった“ヌーヴェル・ヴァーグの象徴”アンナ・カリーナ、その「愛される才能」が立体的に紐解かれる。特筆すべきは、このドキュメントの監督、ナレーションを彼女の夫が務めていることだ。ゴダールとの関係、ヴィスコンティ、キューカー、そしてゲンスブールら伝説的な人物たちとのコラボレーション、その自分と出会う前の妻の軌跡を、誇りと少しの嫉妬を滲ませながらまとめる極私的な視点に好感。

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