クシナの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
川口敦子
一足先に海外で注目された監督、そのインタビューに画家フレデリック・レイトンのタブローに触発されたとあって、体を丸めた少女のアンニュイな官能性をはじめとする視覚面での映画の魅力をなるほどと?みしめた。ただ、そんな少女をめぐる隔離された世界、その芯となる筈の母と娘とその娘の関係、フェミニズムの部分があやふやで鼻じらむ。「エコール」「エヴォリューション」のアザリロヴィックの“感覚する世界”を裏打ちしている確かな志向と嗜好と思考の均衡を懐かしんだ。
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編集者、ライター
佐野亨
中川龍太郎監督の作品で美術・衣裳スタッフを務めていたという速水監督。隅々まで目配りの行き届いた画面づくり、村松良の美しい撮影も手伝って見応えがある。女性共同体、自然信仰、性的抑圧からの解放……どこか河瀨直美監督の作品に通じる感触も。だがあまりにスタイリッシュに決まりすぎた画面に詩的なモノローグとヒーリング的な音楽がかぶさることで、自身と母親との関係性を重ね合わせたという監督の情動が洗練のうちにぼやけてしまった気がする。もっと無造作でいい。
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詩人、映画監督
福間健二
今日、集団が山奥に人知れず存在できるのか。興味を抱いたが、社会との連絡、さほど人知れずというものじゃないとわかる。小野みゆきの演じる長は、姿のくどさに比して平凡な、ただつよい女性。秘めたものがある感じではない。女性の集団だが、社会への抗議の共有が曖昧。たどりついた人類学者と妖精的少女クシナ。クシナと母親。関係の物語は深刻だが、それが衣装からドリス・デイの歌までの趣味的な遊びにどうつながるか。簡単には説明できないところに速水監督の個性は感じた。
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