世宗大王 星を追う者たちの映画専門家レビュー一覧

世宗大王 星を追う者たち

「ベルリンファイル」のハン・ソッキュと「新しき世界」のチェ・ミンシクが、「シュリ」以来20年ぶりの共演を果たした歴史ドラマ。朝鮮王朝最大の名君と謳われた王と、奴婢の身分から独自の天文儀器を発明した伝説の科学者。そんな2人は、特別な絆を結んでいく。監督は「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」のホ・ジノ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    15世紀の朝鮮王朝という、海外の観客にとってほとんど馴染みのない時代設定の上、序盤でそこから二段階で過去に遡るストーリーテリングの未整理さは気になったが、基本はバストショットの切り返し中心の工夫のない演出による会話劇なので話に置いていかれることはない。しかし、まったく知らない時代と土地の歴史劇でありながら、史実にはあまり忠実ではない(わかっていないことが多いらしい)とのことで、視点をどこに定めたらいいのか最後までわからなかった。

  • ライター

    石村加奈

    人間社会では、頭を上げると叱られるほど、身分の低いチャン・ヨンシル(チェ・ミンシク)と、見下げてばかりの王・世宗(ハン・ソッキュ)。身分は違えど、同じく天を仰ぎ見るのが大好きな、二人の友情がほのぼのと描かれる。ヨンシルの緊張をボディタッチで解こうとする王と天才の天然っぷりという、二人のキャラクターの明るさが、映画のトーンを作っている。わかってはいたけれど、最後は二人の名演に泣かされてしまった。ホ・ジノ監督の時間のとらえ方は、相変わらずやさしい。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    朝鮮王朝第4代国王・世宗の実録書に記された「?英実は、製作した王の輿が行幸中に壊れたため尋問を受けた」というたった一文から生まれた物語だが、その王の輿大破事件から始まり、二重の回想形式で綴られる。世宗と科学者の?英実が行なった天体観測機器などの発明とハングルの創製、それを良しとしない明の圧力、明に媚びる大臣らの策略。冒頭の事件の謎を最後まで引っ張り、その?末を二人の格差を超えた友情、朝鮮王朝の未来への希望と重ねる構成の巧みさが深い余韻を残す。

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