メイキング・オブ・モータウンの映画専門家レビュー一覧

メイキング・オブ・モータウン

    2019年に創設60周年を迎えた伝説の音楽レーベル<モータウン>の軌跡を辿るドキュメンタリー。創設者ベリー・ゴーディに密着。デトロイトの一軒家からアメリカンドリームを実現させた歴史や名曲誕生秘話を、親友スモーキー・ロビンソンと共に説き明かしていく。監督は『アイ・アム・ボルト』のベンジャミン・ターナーとゲイブ・ターナー。
    • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

      ヴィヴィアン佐藤

      数々の名曲。天才たちが奇跡的に集結しただけではなく、その陰には品質管理会議という、ライバル同士が相手のために互いに意見を出し合う民主的な場が設けられ、ダンスやエチケット、仕草などの徹底的な教育も行われていた。ベリー・ゴーディ創始者のビジネルモデルはフォード譲り。音楽だけではなく誇りや威厳、自信や自尊心の育成という哲学があった。これは現代の経営者や起業家にこそ響く内容ではないか。社会との関係を客観的に自己分析する能力。単なる音楽映画ではない。

    • フリーライター

      藤木TDC

      モータウンのタコ社長ゴーディJr.と副社長スモーキーがシルバー漫談風に語る実録ドリームガールズ。麗しのオールディーズを聴きつつ60年代黒人音楽史を学ぶカルチャー番組ノリを期待すると専門性に困惑する中級者向け講義だ。デビュー時のS・ワンダーほか貴重映像多々だが、証言者の多弁を字幕が翻訳しきれておらず、都度、資料に照会したくなるので劇場よりDVDで観たい。モータウン興亡史の「興」ばかりで「亡」がない不足も。予告篇にないニール・ヤングの証言が衝撃!

    • 映画評論家

      真魚八重子

      レコードレーベル、モータウンの社史を映像で観る映画。創立60周年記念作品ということで、ほぼ創業者ベリー・ゴーディの語りで構成されている。まだ元気な伝説的ミュージシャンの姿を見られるのはありがたいが、協力者の暗部は当然描かれない。モータウンの健全さをアピールし、所属アーティストの私生活はあまり言及しない当たり障りのない作品に仕上がっている。第三者の批評性も、ドキュメンタリーとしての個性も必要としていない。映画というよりテレビ番組のよう。

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