また、あなたとブッククラブでの映画専門家レビュー一覧

また、あなたとブッククラブで

70~80年代にかけてアメリカ映画の礎を築き、今なお走り続ける4人の女優が共演するアンサンブルドラマ。妻として、母として、上司として、経営者としてそれぞれ自立した人生を謳歌してきた女性たち。40年以上にわたり読書会を開催し、交流を続けてきたが……。出演は「アニー・ホール」のダイアン・キートン、「帰郷」のジェーン・フォンダ、「ガンジー」のキャンディス・バーゲン、「メルビンとハワード」のメアリー・スティーンバージェン。ロバート・レッドフォードのワイルドウッド・エンタープライズで長年製作プロデューサーを務めてきたビル・ホルダーマンによる長編監督デビュー作。
  • 映画評論家

    小野寺系

    熟年世代の女性たちがそれぞれパートナーを探し人生を楽しもうという、主体的な女性の欲望を後押しする方向性は共感できるし、ダイアン・キートンも可愛らしい。しかし彼女たちが『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を読んで刺激を求める展開は、さすがに幼な過ぎると感じるし、そんな妄想をそのまま叶える小型飛行機のシーンにも工夫がない。「パートナーのない人生には意味が無い」という価値観も垣間見え、そのために「書を捨てよ」と言わんばかりの内容になったのは悲しい。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    年齢別の区分けではもはや高齢者枠に入るフェミズム映画を代表していた女優たちと、当時のドラマを彩った男優たち。一堂に集まった贅沢さはもちろん、かつてのイメージに沿った配役にはニンマリする。読書会は名目で、展開するのはラブコメ。全員が肩の力を抜いて自在にやっているかに見えるのは、キャリアと現役力の賜物だろう。C・バーゲンの愛猫の名がギンズバーグという茶目っ気も○。たわいないと言えばそれまでだが、スターが勢揃いする楽しい映画に飢えている身には嬉しい。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    40年来の読書クラブ仲間の熟年女性4人が繰り広げるロマンティック・ラブコメディ……って、いくら往年の名女優たちが出演しているとはいえ、コイツはちょっと食指が動かないなあ、などと思っていたのだが、観はじめてみると存外に上質な女性映画で、出会い系サイトで男漁りしたり旦那の飲み物にバイアグラを盛るなどという下品なネタもなんだか微笑ましく、おばあちゃんと呼んでいい年齢の4人が次第に魅力的な女性に見えてくるに至り、予定調和なラストも笑顔で許せてしまった。

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