新感染半島 ファイナル・ステージの映画専門家レビュー一覧

新感染半島 ファイナル・ステージ

世界中でヒットしたサバイバルホラー「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編。人間を凶暴化させるウイルスによって韓国が崩壊して4年。香港で惨めな生活を送る元軍人ジョンソクの元に、半島に潜入し、トラックに積まれた大金を回収する話が舞い込む。出演は「ゴールデンスランバー」のカン・ドンウォン、「ラブ・アゲイン 2度目のプロポーズ」のイ・ジョンヒョン。監督は前作に続き、ヨン・サンホが務める。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    冒頭約30分、イ・レ演じる少女ジュニが驚きのドラテクを駆使して主人公たちを救出するあたりまでの編集のスピーディーさ、ビジュアルのシャープさ、ストーリーテリングの巧みさは、さすがヨン・サンホ。同じくアナザー・ハリウッドを標榜するヨーロッパ・コープあたりのアクション作品と比べても確実に一枚上。シチュエーションを分散させたことで物語が停滞してしまう中盤以降は、ほぼ完璧な脚本だった前作と比べるとどうしても分が悪いが、課題は脚本だけとも言える。

  • ライター

    石村加奈

    大ヒットを記録した前作から、4年後の世界が見事に構築されている。カン・ドンウォン演じる、主人公のジョンソクを筆頭に、主要な登場人物たちのキャラクターも見応えがある(完璧なキャスティング!)。中でも、監督があてがきしたと明かすジョンソクの義兄チョルミン(キム・ドユン)と、因縁の母ミンジョン(イ・ジョンヒョン)、それぞれの選択する結末がいい。たとえカッコ悪くとも、世間の常識に抗って、生きる努力をする。人間の素朴さを讃えた、素晴らしいヒーロー映画だ。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    冒頭こそ、コロナ禍真っ只中の今、感染爆発から派生する差別描写などにリアルを感じたが、その後は「ジュラシック・ワールド/炎の王国」「ニューヨーク1997」「マッドマックス 怒りのデスロード」なんかをごった煮にしたトンデモ展開に突入。フュリオサばりのハンドル捌きを見せる13歳、イ・レの憂いのある眼差しにグッとくる。前作同様、ヨン・サンホ監督の展開、キャラクター描写ともに無駄のない演出が冴えるが、ラストの選択のシーンだけやたら長くて惜しい。

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