プラットフォームの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
経済的上位にいる1%の人々のために99%の人々は奉仕を強いられる、という新自由主義社会の階層構造を、そのまま直喩的にフィクションのフレームに落とし込んだスペインのアートハウス系作品。細部の設定まで考え抜かれていて感心させられた。ただし、大半のシーンが中年男性と老人男性の会話劇というのは、スペインでは知られた名優の二人とはいえ、映像的な快楽度という点ではなかなか厳しい。こういう作品こそ、他言語の地域でスピーディーにリメイクされる意義がありそう。
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ライター
石村加奈
主人公ゴレンと、同じ階層で1カ月暮らすことになるパートナーたち、トリマカシ、イモギリ、バハラトを比べても、なぜ“穴”に来ることになったのかなどそれぞれの話がバラバラ過ぎて、映画の展開に頭の整理が追いつかない(プラットフォームのシステムもわかりにくい)。わからないなりにもシステムを壊すべくゴレンたちの取った行動、パンナコッタと最下層に潜む子供とのエピソードを上手くストーリーに練り込められたなら、普遍的なメッセージとしてより伝わるものがあったのでは。
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映像ディレクター/映画監督
佐々木誠
評判の飲食店に予約を入れてから、事前情報なしで本作を観てしまい、すぐに後悔。オエェ……鑑賞後の食事を楽しみにして観る映画じゃねぇ……と、飽食にまみれた現代人を皮肉った展開がもろに直撃、まんまとヤラれてしまった。設定は「キューブ」を髣髴とさせ、「スノーピアサー」と同様、わかりやすい“社会構造”の暗喩をその限定された空間に描いている。後半の展開が急すぎて上手くサプライズに繋がらなかったのが残念。A・S・フアンの性別不詳の妖艶な魅力は相変わらず健在。
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