レンブラントは誰の手にの映画専門家レビュー一覧
レンブラントは誰の手に
巨匠画家レンブラントを巡る人々の情熱を捉えたドキュメンタリー。レンブラントの絵画を所有する家に生まれた若き画商が彼の新たな作品を発見するが、思いもよらぬ横やりが入る。一方、レンブラントの2点の絵画が売りに出され、国の要人まで乗り出す事態に。監督・脚本は、「みんなのアムステルダム国立美術館へ」のウケ・ホーヘンダイク。
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
我々は絵画に接する際に一体何を見ているのか。本作は絵画の額縁の外の世界を芳醇に戦慄的に描く。絵画とは、物理的精神的にそこに存在していたであろう時間や空間の物語の写し、もしくは鏡だ。切り取られ写された「絵画」とは、過去と現在を繋ぐドアに開けられた鍵穴のようなもの。覗いたとて、完全な掌握は不可能だ。絵画には描かれ得ない額縁の外側の世界があり、そこにこそ壮大な世界の別の物語が存在し続けている。これは知的かつドラマティックな絵画論であり映像論だ。
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フリーライター
藤木TDC
ノーブルな雰囲気漂う知的ドキュメント。新発見された有名画家作品の真贋判定や売買の裏側は時おりNHK BSで西欧制作の番組が放送され、あちらにはそのジャンルのニーズがあるのは知っていたが、本作では購入者や所有者の金勘定を越えた深いレンブラント愛に踏み込んでいる点で唸らせる。庶民感覚からは隔絶された世界だが、それでも少しは大衆的視点を交えてほしかった。意地悪な批評家が登場して痛烈な皮肉をコメントしていれば私はより満足できたかもしれない。
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