僕が跳びはねる理由の映画専門家レビュー一覧
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
東田直樹の著作を中心に世界各国の自閉症の人々とその家族が登場するが、人間一般の間主観性のテーマを本作は自己言及的に提起する。名付けられた病を患っていようとなかろうと、固有の肉体と精神を有したそれぞれの個体は、その感受性や世界の見え方、関わりが同一だとは誰も証明できない。自身の内なる宇宙に耳を傾け自らを尊重することは、同時に他人に対しても寛容になることだ。この相互理解で世界は高次に到達するはずだ。存在することは恩寵を受けていることの証明となる。
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フリーライター
藤木TDC
知的障がい者が内面を詳述した驚きの名著が原作なのに、映画はその一部を朗読するのみで視覚再現を試みず、健常者の常識的視点で描かれつまらない。アウトサイダー・アート展で当事者の斬新で繊細な才能を直接目にする衝撃は本作になく、小奇麗でありきたりな障がい者の記録に終わっている。とくに後半は家族の苦労話を並べテレビの福祉番組と変わりなく凡庸。もっと当事者の心に踏み込む冒険的ドキュメントにできたのでは。未読なら映画を先に見ず、まず原作を読むほうが良い。
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映画評論家
真魚八重子
本作のポエティックな映像は、自閉症の内的世界を表現しているのかと思ったが、どうも映画内で語られる話からすると無関係のようだ。記憶の甦り方について、自閉症患者特有の、時系列ではない鮮烈な思い出し方についてのくだりは、軽く衝撃を受け精神が疲弊した。ゆえに、それっぽいがどうも乖離している凝った映像表現は、純粋に芸術系ドキュメントというべきかも。文字表現での思考の伝達は、もっと詳細で科学的な解説がほしい。アートと表明の共存が面白そうなだけにもどかしい。
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