サムジンカンパニー1995の映画専門家レビュー一覧

サムジンカンパニー1995

汚水流失事件などの実話を元に大企業の高卒女性社員が会社の不正に立ち向かう姿を痛快に描いたドラマ。高卒のジャヨンは、実務能力は完璧ながら仕事は雑用ばかり。昇進のために英語の勉強に励むなか、会社の工場から汚染水が流出しているのを目撃してしまう。出演は、「グエムル 漢江の怪物」のコ・アソン、「愛のタリオ」のイ・ソム、「スウィング・キッズ」のパク・ヘス。監督は、「花、香る歌」のイ・ジョンピル。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    1995年のお隣の韓国ソウル。日本ではバブルが弾けたと言っているときにこんな状況だったのか。男女雇用均等法や会社汚職、不正、内部告発をここまでポジティブに元気に脚本化する力!この時代の日本の女子サラリーマン作品といえば、『ショムニ』あたりだろうか。日本はこの30年間何も変わっていない。これは韓国の爽快なコミカルサスペンスで楽しく応援したくなる作品だが、このような作品を日本には作れない。「作品」とは「映画論」に他ならなず、韓国映画界のある可能性を見た。

  • フリーライター

    藤木TDC

    マーケティングを意識しすぎ混乱してる点で映画自体が現代的企業活動の産物だ。「国家が破産する日」(19)が描く97年韓国通貨危機の前日譚と見れば本作の題材の企業不正は興味深い。いっぽうフォームはTVドラマ『ショムニ』風の事務服OLドタバタ劇で、シリアスとコメディの並立を狙う演出は挑戦的だが二方向が相殺し機能していない。OLドラマに笑いと共感を期待する観客に後半の企業ミステリは不要、社会派映画好きには演技の誇張や大企業礼賛が不愉快というジレンマが。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    懐かしいいで立ちをしたヒロインたちの冒険と、事件を調べていくミステリー要素。品の良さや、第三者的な視点を維持した物語の展開も含めて、まるで角川映画を観ているような気分。コ・アソンのもの言いたげな表情には引き込まれるし、達者な演技でありつつさっぱりした存在感はイヤミがなくて好印象。理解ある上司や素直な後輩など、善人の男性キャラの存在は救いがあり、さらに彼らに関して恋愛要素が絡んでこないのがすがすがしい。クライマックスの畳み掛けもケレンがある。

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