スレイトの映画専門家レビュー一覧

スレイト

「殺されたミンジュ」のアン・ジヘ主演の韓国ガールズアクション。アクション女優の卵であるヨニは映画の撮影現場に入るが、そこは人々が剣を手に殺し合うパラレルワールドだった。ヨニが撮影と間違えて敵を倒すと、村人たちから村の守護者として迎えられる。出演は、ドラマ『100日の郎君様』のイ・ミンジ。2020年東京国際映画祭TOKYOプレミア2020上映作品。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    監督がやりたいこと全部一本の作品に詰め込んだら収拾つかなくなっちゃいました、といった感じの並行世界ものアクション・ファンタジー。日本の映画界にもたくさんいた(そしてほとんどが消えた)、20年遅れの90年代~00年代前半タランティーノ作品のフォロワーとも言えるのだが、作品全体に嫌味がないのはその無邪気さ故か。ヒロインのアン・ジヘの今後も期待できるが、地に足が着かない作品世界をなんとか成り立たせているのは助演女優イ・ミンジの好演。

  • ライター

    石村加奈

    アン・ジヘのアクションの腕を見染めたチョ・バルン監督が、当初の設定を変更して、ヒロイン・ヨニを誕生させたというドラマチックなエピソードから、問答無用のアクション映画と思いきや、幼少期から、人生の“主人公”になりたいと強く願ってきたヒロインの、切ない胸のうちに迫るドラマに、心地よく裏切られた。とはいえ、クライマックスの剣術対決以外にも、見せ場を作って、彼女の涼やかな魅力と、アクロバティックや乗馬など多彩な腕前をもっと披露してもらいたかったなあと。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    アクション女優がパラレルワールドに迷い込み、悪人によって苦しめられていた人々を救う壮大な設定。にしてはセットや美術がチープでディテールも甘い。多くの要素(メタ構造、親子愛、異世界=北朝鮮?等々)を詰め込んで物語は進むが、それらが上手く?み合っていない。見せ場のソードバトルは、スタントなしで臨む俳優たちは熱かったが、ロック調の劇伴の絶妙なダサさがカット割りにも影響し、気持ち良く乗れない。全篇、素材の面白さをバランスの悪さで活かしきれず残念。

1 - 3件表示/全3件