ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけているの映画専門家レビュー一覧
ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている
世界的ミュージシャン、ビリー・アイリッシュの素顔に迫るドキュメンタリー。ベッドルームで曲を書いていた少女は、いかにして10代で世界を席巻するアーティストとなったのか。幼少期からの貴重な映像を交え、彼女の精神的成長や家族の絆まで掘り下げる。監督は「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」のR・J・カトラー。
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
ビリー・アイリッシュ入門者には一見、最適な情報の星雲に見えるが、ネットフリックスなどのドキュメンタリー番組同様、こちらもモキュメンタリー要素を感じる。ある種プロモーション作品だ。しかし、実家の兄の部屋やホテルでのレコーディング場面での彼女のウィスパーボイスやライブ映像は紛れもなく本物。神がかった歌唱力を見せつける。傷ついた現代社会には治癒効果のある彼女の歌声は必要なのだろうし、現代の核家族の在り方、子育ての事例もある意味参考になるのかもしれない。
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フリーライター
藤木TDC
すでに2月からAppleTV+で配信されている作品だが、彼女の曲を知らない私のようなオッサンが初見で映画に入り込むのは難しかった。動画を視聴したファンがさらに大勢で見て体験共有、感動を増幅するための劇場公開という気配が濃く疎外感も。アウトサイダーな生い立ちや、メジャースタジオのプッシュがなくネットの自律的拡散でスターダムに昇りつめた現代的なタレントは伝わるが、人気を支えるシステム=音楽産業側の描写を回避した構成は私好みなゴシップ的旨味に欠けた。
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映画評論家
真魚八重子
チックなどの病を抱えホームスクールで勉強をしてきたこと、ジャスティン・ビーバーの熱烈なファンなこと、一時期は心を病んでリストカットしていた等々、ビリーは意外なほどカメラの前にわが身をさらけ出す。ティーンのミュージシャンのドラマチックな要素を、ことごとく身に備えているのだから売れるのも納得。母親が過干渉的にマネジメントも担当し、いつか親子関係のひずみを招きそうな予感もするが、そういった危うさがこぼれた瞬間を逃さず収めている撮影や編集が面白い。
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