ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染の映画専門家レビュー一覧

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染

「スカイハイ 劇場版」の釈由美子出演のパニック・ホラー。妊婦のナオミが宿泊したホテルで、謎の殺人ウィルスによる感染が爆発。感染者は苦しみながら凶暴化し、数時間で息絶える。やがて、ナオミの身体に異変が現れる。さらに心霊現象まで起こり始め……。出演は、「X-MEN:アポカリプス」のカロライナ・バルトチャク、「夜明けのゾンビ」のマーク・ギブソン、「CUBE」のジュリアン・リッチングス。監督は、長編デビューとなる本作でブラッド・イン・ザ・スノー映画祭最優秀監督賞を受賞した新鋭フランチェスコ・ジャンニーニ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    何はともあれスクリプトが崩壊している。冒頭では謎の時制の入れ替えもあって、釈由美子演じる日本人の妊婦ナオミが主人公であるかのように始まるが、どうやら本当の主人公はもう一人の女性ヴァルのようだ。そのヴァルには幼い娘がいるが、何故か彼女は娘の存在を途中から忘れてしまったようだ。ウイルス拡散の黒幕らしき男も同じホテルにいるのだが、そもそもどうしてそんな大物がこんな場末のホテルに滞在しているのか。何もかもが「?」のまま、80分の上映時間が終わった。

  • ライター

    石村加奈

    夫(または母)の支配から逃れようと辿り着いたホテルで出会う二人の母親。それぞれに新しい人生を踏み出す決心を固めた彼女たちだが、未知のウイルスに襲われる。密室の恐怖を煽るカメラワークなど工夫も見られるが、僅か80分間の映画はまるで動かない。せっかく出会ったヒロインたちに衝突(ドラマ)は生まれず、キャラクターも生きないままだ。ある意味パニックの本質を描いているのかもしれぬが、ヒロインの背負うヘビィな設定が、ただ虚しい。そしてウイルスの真相はひどすぎる。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    あるホテルで謎の新型ウイルスによるクラスターが発生、パンデミックへ繋がるその過程がリアルタイムで描かれる……のだが、これがまさかのコロナなんて誰も知らない2年半前に撮影されている。「目に見えないものによる侵食」をテーマにしたホラーの意欲作が、このタイミングで公開することで、良くも悪くも想定外の意味を持つことに。主人公二人がどちらもDVに悩む女性なのだが、その“無意識の暴力”を受ける描写がそれぞれリアルで、本作で最もホラーなシーンだった。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事