ショック・ドゥ・フューチャーの映画専門家レビュー一覧

ショック・ドゥ・フューチャー

エレクトロ・ミュージック全盛期前夜のパリを舞台に、近未来的なサウンドに心躍らせる女性音楽家と友人たちを描いた青春音楽映画。CMの作曲を依頼された若手ミュージシャンのアナは、納得のいく曲が書けずにいた。そんなある日、日本製の電子楽器に出会う。出演は、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の孫で、モデルとしても活躍するアルマ・ホドロフスキー。監督は、「ブレイク・ビーターズ」で音楽を担当し、音楽プロジェクト『ヌーヴェル・ヴァーグ』の活動でも知られるマーク・コリン。カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2021オープニング作品。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    なかなか話が始まんないなあと思っているうちに、終わってしまった。事件らしいものがあんまりないからだろう。でも音楽が作られていく過程を丁寧に描いていて、特にエレクトロ・ミュージックの好きな人にはたまんない映画だろうと思う。作曲家の彼女と歌手が出会って、何度も何度も試しながら少しずつ音楽を作り上げていく。そのセッションの楽しそうなこと。二人のテンションが徐々に上がっていくのがわかる。凄い凄いとはしゃぐ二人の顔は、物を作る喜びに満ち溢れている。良い。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    体感25分! ただエレクトロニカの世界に身を預けているだけで、始まったと思ったら終わっている。それもまだ観ていたいのにという贅沢な余韻を残して。男性優位の音楽業界で「美人なんだからボーカルやれば?」という何重にも塗り重ねられた侮辱にも、怒りあきれながらも邪魔されずに自らの道を進む。シンプルで潔く、余計な要素をはさまない。創作の情熱に引っ張られて行動する主人公を追いかけるようにカメラは自然とアルマ・ホドロフスキーに吸い寄せられていく。また観たい。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    一日の出来事にしたのが工夫だろうが、その工夫も含めて型通りである。作劇に感じられるのは作為であって、創意ではない。しかも、首から上のミディアム・クロースアップを軸に構成されるため、これではすべてが感情のドラマに回収されてしまう。俗情におもねった一喜一憂の物語のどこがいいのか。壁一面を覆う機材を正面から捉えたショットや装置をいじる手つきの接写を主役にすればよかった。ところでゴダール&ミエヴィル「パート2」の特大ポスターがずっと気になった。

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