真夜中乙女戦争の映画専門家レビュー一覧

真夜中乙女戦争

作家Fのベストセラー青春小説をアイドルグループKing & Princeの永瀬廉主演で映画化。大学に馴染めず鬱屈した日々を送る“私”。かくれんぼ同好会で出会った“先輩”に近づいたり、謎の男“黒服”に導かれ悪戯を仕掛けたりするうちに、日常が輝きだすが……。監督は、「チワワちゃん」「とんかつ DJ アゲ太郎」の二宮健。鬱屈した思いと破壊衝動を内に秘める大学生の“私”を永瀬廉が、“私”が恋心を抱く先輩を「貞子」などに出演するほか「夏、至るころ」では監督を務めた池田エライザが、謎の男“黒服”を「先生、私の隣に座っていただけませんか?」の柄本佑が演じる。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    目ぼしいコミック原作を食い尽くしたからだろうか、あるいは角川のIP戦略の方針だろうか、近年増えてきているラノベの実写化作品。ハリウッドの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のような成功例もあるので一概には言えないものの、自意識の幼稚さという点でコミック原作よりも筋の悪い作品も目立つ。本作も一歩間違えればそのワン・オブ・ゼムになっていたが、主要キャラクターを演じた役者たちの魅力と、二宮健監督の作品全体を俯瞰したデザイン力によって救われている。

  • 映画評論家

    北川れい子

    不勉強で原作のことは全く知らなかったが、主人公である大学生の破壊願望は若者の特権として小説や映画でかなり馴染みがある。いずれは時間に流されるか他に関心が向いて消えてしまう感情。いやその破壊願望から自滅する若者もいたが。主人公の場合は、ひょんなことから出会った若き実業家の取り巻きに加わったことで、その願望が反転しつつ加速していくのだが、バイト先でロボットのように扱われる主人公の大破壊へ至るエピソードは、映画として痛烈に納得できるものがある。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    「ファイト・クラブ」は90年代を代表し、締めくくった凄い映画、殺気のある良い映画だった。本作はそれを踏襲し似ていることでちょっと家賃が高くなったというか、ヌルいと言われることは避けられない。睡眠不足で頭が壊れると気分や雰囲気を味わうことがなくなるが、その殺伐さが足りなかった。組織的破壊活動をなんとなくではなく、解決の発明だと信じさせる魔が欲しい。成河演じる元官僚が語る、ふと気づいた一切への虚無感、ああいう認識でもっと勝負すべきだったのでは。

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