ダルバール 復讐人の映画専門家レビュー一覧

ダルバール 復讐人

「ムトゥ 踊るマハラジャ」「ロボット」シリーズなどで知られるインド映画界の大スター、ラジニカーント主演のアクション超大作。最愛の娘を誘拐された元秘密工作員、現警察長官の父親が復讐の鬼となり、犯人グループを完膚なきまでに叩きのめす。ラジニカーントは26年ぶりに警察官を演じ、溺愛する娘のために、悪人相手に一対多勢の超絶アクションを繰り広げる。その姿は70歳の齢を微塵も感じさせない軽やかさだ。監督・脚本は「サルカール 1票の革命」(18)で知られるタミル語映画界のヒットメーカー、A.R.ムルカダース。他のキャストには「チャンドラムキ/踊る! アメリカ帰りのゴーストバスター」(05)でラジニカーントと共演したナヤン・ターラ、そして、注目の若手女優ニヴェーダ・トーマスが娘役として登場する。見どころはやはり、音楽にのせたラジニカーントの超絶技巧アクションに加え、ムンバイの都市を舞台にした銃撃戦とカーチェイス、そしてソロ&群衆のダンス! 時々放たれるブラック・ジョークはダークヒーローを彷彿とさせる。ダルバールは「裁判」という意味。怒れる父の復讐の裁きが下される。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    ガッツリとヅラを被ったラジニカーント主演のタミル語映画ということで、作品のノリについては推して知るべし。もちろんこうしたローカルな映画言語が尊重すべきものであることは前提として、例えば同じインドの「暴走する警官」モノであるNetflix『聖なるゲーム』におけるボリウッドの洗練と比べると、娯楽作品としてどれだけの余命があるのかとも思ってしまう。お約束のダンスシーンや2部構成の長尺ではなく、照明とアフレコの不自然さが鑑賞のノイズとなった。

  • ライター

    石村加奈

    インド映画界のスーパースター、ラジニカーントが、70歳とは思えぬキレの良さで、歌あり踊りあり、アクションありの158分間大活躍!「警察界のゴッドファーザー」と称賛される、敏腕警察官の正義と、最愛の娘を失い、復讐にかられた父親の不義とのギャップにも躊躇なく、我が道を猛烈に突き進む主人公アーディティヤの姿は痛快無比だ。一人対多勢の超絶アクションも凄いが、父娘のドラマにも意外な見応えがある。特に娘の遺言に接するシーンのラジニカーントは、神がかっていた。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    娘を奪われた怒りから悪人を殺害しまくる男の復讐譚、ということで「狼よさらば」シリーズ的作品かと思いきや、そこはラジニカーント映画。小ネタと歌と踊りが満載、油断するとすぐにスローになってキメ顔、それが本筋と関係なく続き無駄に長い。本作の主人公がポール・カージーと決定的に違うのは、警察長官という自身の権力をフルに使って復讐(という名の殺戮)を遂行するので全く共感できず、カタルシスが皆無という点だ。ラジニの映画でそれをマジで語るのは野暮だが……。

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