レミニセンスの映画専門家レビュー一覧

レミニセンス

「インターステラー」脚本のジョナサン・ノーラン製作、「グレイテスト・ショーマン」のヒュー・ジャックマン主演のSFサスペンス。地球温暖化により都市が海に沈んだ世界で、記憶潜入エージェントのニックは、ある事件のカギを握る失踪した女性メイを追う。出演は、「グレイテスト・ショーマン」のレベッカ・ファーガソン、ドラマ『ウエストワールド』のタンディ・ニュートン。監督は、『ウエストワールド』のリサ・ジョイ。
  • 映画評論家

    上島春彦

    「ザッツ・エンタテイメント・パート3」でレナ・ホーンが口ずさむスタンダード曲〈ウェア・オア・ウェン〉の使われ方がヒント。歌詞も記憶がテーマになっていて納得。フィルム・ノワールの枠組みが窮屈な印象もあるが、代わりに香港ノワールのスターとしてダニエル・ウーが現れて大暴れ、点数を稼ぐ。もっと暴れても良かった。海面上昇アメリカというバラードSF的発想に度肝を抜かれ「アルタード・ステーツ」風の記憶想起装置が諸星大二郎っぽい奇想にぴたっとマッチする。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    人は未来を希求し常に前を向いて生きることを強いられる。過去に囚われてはいけない。そんな箴言は未来を上位、過去を下位に置き、否応なくわたしたちの時間軸に価値の序列をもたらすが、本作はそれを転覆させようとしているかのようだ。かつてある映画評論家は「原則としてフィルム・ノワールにハッピーエンディングはない」と言ったが、厳密な意味でジャンルを踏襲するこの女性の作家は、旧来のファムファタル像を換骨奪胎すると共に「ハッピーエンディング」の新たな解釈を示す。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    気候変動により世界が「なかば」水没しているという設定自体は悪くない。しかしフィクション・ラインや物語の前提が主人公の思いつくままに書き換えられていくので、サスペンスの約束事をほとんど理解出来ないまま唐突に謎解きがはじまる。そして、主人公とヒロインの感情の流れもほとんど追うことが出来ないがゆえに、ただただお互いの外見が気に入ったのであろうと推測されるふたりが展開する大仰なすったもんだは観客を完全に置き去りにし、誰にカタルシスをもたらすのであろう。

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