ダーク・アンド・ウィケッドの映画専門家レビュー一覧

ダーク・アンド・ウィケッド

「ストレンジャーズ/戦慄の訪問者」のブライアン・ベルティノが放つ戦慄のホラー・ムービー。父の最期を看取るため帰郷した姉弟は突然母の死に見舞われる。母の日記に記された恐ろしい体験、家畜たちの大量の死骸。姉弟は次々と血も凍るような恐怖に見舞われてゆく。主演は「アイリッシュマン」「最後の追跡」の女優マリン・アイルランドと、「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」のマイケル・アボット・Jr。シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀女優賞、撮影賞の2部門を受賞。
  • 映画評論家

    上島春彦

    エクソシズム(悪魔祓い)映画のヴァリエーション。明らかに監督が「エクソシスト」ファン。ただし本来ならば「祓う」役割の聖職者のあり方がポイント。要するに無力。で、そこが一番の面白さ。日本では?いつくしみ深き…の歌詞で知られる讃美歌312番を口ずさむ母親の存在に注目したい。彼女を含めて主人公一家は無神論者なのである。当然何らかの棄教体験があったはずだが、そこが描かれないのが残念至極。このキッチンの場面は映画「樹海村」をヒントにしているのではないかな。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    親という存在の「死」は多くの人が経験するものでありながら、我々にとってそれは不可解で未知数で実のところ何もわかっていないのではないかという問いが始発駅になっている点で、おそらく直近の「レリックー遺物ー」と共通しているが、終着駅がまったく異なっているように思われる。とくに「ロスト・ハイウェイ」などのデイヴィッド・リンチ的な要素もありつつ、身体的な痛さや不安を煽る演出など、とにかく観客を恐怖に陥れるために全力を尽くすあたりはホラー映画の鑑と言える。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    動物や植物など、人間の近くに存在しながらも粗雑に扱われてきたものたちの権利が主張される昨今、これはまさかの新ジャンル、酪農ホラーなのかという期待に胸躍らせたものの、残念ながらその真逆で、身近に存在するものたち(病人)を積極的に恐怖対象化=外部化していこうという昨今大ブームの介護疲れホラーでした。この流れ、非常に今っぽいっちゃあ今っぽいんだが、知性派のはずのシャマランあたりまでハマっていて、どうなのか。中年姉弟を主役にしていた点だけは新鮮。

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