素晴らしき、きのこの世界の映画専門家レビュー一覧

素晴らしき、きのこの世界

    低速度撮影しゆっくり動くものを早回しするタイムラプス映像のパイオニアと言われる映像作家ルイ・シュワルツバーグが、きのこ・菌類が秘める力に迫るドキュメンタリー。医療や環境問題など様々な問題への応用が期待されるきのこ・菌類の可能性を提示する。菌類学者のポール・スタメッツ、ジャーナリストのマイケル・ポーラン、人気フードライターのユージニア・ボーンら様々な専門家が、菌類を使った知られざる問題解決策を明かす。ナレーションを、「ルーム」で第88回アカデミー賞主演女優賞を獲得した、きのこ好きのブリー・ラーソンが務める。
    • 映画監督/脚本家

      いまおかしんじ

      菌類学者のおっさんが、胡散臭い。舞台にお母さんを呼んで、ガンが治ったのはキノコのお陰と言って抱き合う。このシーンを見て、この人大丈夫か? と思った。彼は自画自賛しながら、きのこの素晴らしさをまくしたてる。喋りが上手いので引き込まれてしまう。胡散臭いけど、それが微笑ましく思えてしまうのは何なのだろう。彼のキノコへの情熱に嘘がないからだろう。本気のアホは面白い。あと、出てくるきのこの美しいこと。見終わってマジックマッシュルームが食べたくなった。

    • 文筆家/女優

      睡蓮みどり

      魅惑的なきのこの世界が、きのこ目線で、きのこに魅了された人々の言葉で語られる。きのこの生き様や思想がぎゅっと詰まった驚きに満ち溢れた本作。ヒーリング音楽とともに流れるスピリチュアルな雰囲気に引き込まれ、語弊があるかもしれないが、きのこ教勧誘映像のようでもある。マジックマッシュルームは幻覚作用があるとして日本では禁止されているが、鬱にも効くとされる成分シロシビンの医学的なアプローチも興味深い。自分と向き合うことは何か、きのこ哲学は語りかけてくる。

    • 映画批評家、東京都立大助教

      須藤健太郎

      やたらと豪華な教育番組かと思いきや、途中から幻覚剤と精神医療の話になって、怪しい勧誘ビデオの趣きとなる。きのこってこういうことか。少し身構えてしまう人もいるはずだが、監督がタイムラプス撮影を得意とする専門家だけあって、科学映画に特有の視覚的な快楽には満ちている。超低速撮影や電子顕微鏡を駆使し、実写とアニメーションの区別のつかないハイパーリアリズムの世界に誘われる。当然、幻覚も映像化されるが、それはあたかもホイットニー兄弟への目配せか。ご愛敬。

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