ほんとうのピノッキオの映画専門家レビュー一覧

ほんとうのピノッキオ

第93回アカデミー賞で衣装デザイン賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされたダークファンタジー。父ジェペットの家を飛び出し、おとぎの森の奥深くへと誘われたピノッキオ。数々の奇妙な生き物に遭遇しながら、奇想天外な冒険を繰り広げてゆく。「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督が原作に回帰して、斬新にビジュアライズ。出演は「ライフ・イズ・ビューティフル」のロベルト・ベニーニ、「17歳」のマリーヌ・ヴァクト。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    人形の生々しさにギョッとする。特殊造形の力が大きいと思うが、ピノッキオが本当に生きているようだった。巨大な魚のお腹の中にいくところ、子どもの頃行ってみたいという憧れがあったのを思い出した。ピノッキオが妖精とか色んな人たちと出会って、助けられて成長していくって話だと思うのだが、成長が見えないっていうか、そもそも彼は何がしたいのか。人形でいることの不幸と人間になることの喜びが見えなかった。でも、もう一度ピノッキオを読み直してみようと思った。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    衣裳や美術が美しい。物語の大筋はおそらく多くの人が知っているものだろうが、なんというか所々ディテールがもったいない。木の人形を息子だというジェペットさんに対して知人が「は?」という顔を向けるシーンがあるかと思うと、当たり前に人形が人間と会話し、妖精もいて、他の生き物が喋る世界。原作に忠実であろう各シーンも羅列の印象。大人向けダークファンタジーというには物足りない。オゾン映画でお馴染みのマリーヌ・ヴァクトが一際美しいので満足感はある。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    お話を辿ることを目的にした映画なので、それ以上の関心を持ちようがない。劇中、カタツムリが物語を語り聞かせるのにピノッキオが退屈し、妖精と一緒に早送りをして楽しむ場面があったが、思わず真似したくなった。たとえ面白い話だとしても、それをただ聞かされるだけでは別に面白くもなんともないわけだ。なお特殊メイクを施してCGで均しているので、ピノッキオは表面以外は人間そのもので、人形感はゼロ。最後に人間になったといっても、見た目が多少変わる、ただそれだけ。

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