コレクターズ ソウルに眠る宝刀を盗み出せの映画専門家レビュー一覧

コレクターズ ソウルに眠る宝刀を盗み出せ

「金子文子と朴烈」のイ・ジェフン主演による犯罪アクション。天才盗掘師のカン・ドングは、古墳壁画盗掘専門家ジョーンズ博士とタッグを組み、高句麗の古墳壁画を盗み出すことに成功。さらに、韓国の中心部に眠る《李成桂の刀》を強奪する危険な計画に挑む。共演は「SEOBOK/ソボク」のチョ・ウジン、「フェニックス 約束の歌」のイム・ウォニ。シネマート新宿&シネマート心斎橋で開催される『のむコレ'21』にて上映。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    どこか森??東「女咲かせます」を想起させる展開のケイパー映画。全体をわかりやすい復讐の物語としてまとめつつ、おそらくは直接的に意識したはずの「パラサイト」のように、穴と高層ビルの対比をはじめとする高低差を階級差の主題と絡める演出を効果的に用いている。各キャラの出自を掘り下げるなど、もう少し階級のテーマを強調すればさらに深みが出たようにも思うが、気楽に観られるエンタメ作品としては、あまり深刻になりすぎないこのぐらいのバランスがちょうどよいのかも。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    独特なテンポとテンションで流れていく映画で、最初は下手くそで違和感のあるシーン繋ぎだと思って見ていると、いつしか癖になり、固有の文体を持っているように感じてくる一風変わった映画。もちろんそれは本作が詐欺師の映画であることと関係があり、奇妙な主人公の話術と映画の語り口がシンクロするようになっているというわけだ。派手なブラフもなく、やっていることはくだらないギャグと地味な穴掘りだったりするのだが、なんだか上手に乗せられて面白く見てしまった。

  • 文筆業

    八幡橙

    「ビッグ・スウィンドル!」などチェ・ドンフン作品を彷彿とさせる痛快盗人集団活劇。いつになく饒舌で軽やかなイ・ジェフンに、インディー・ジョーンズ風味のチョ・ウジン、登場からして異彩を放ちまくるイム・ウォニと、韓国映画通には面子だけでノリのよさが伝わりそうな王道の娯楽作だ。とはいえそこは韓流、裏には相当ヘビィな過去も潜んでいたりはするものの、最後まで痛快さは崩さず。公開時、本国で評された通り、“コロナブルー”を吹き飛ばすには最適の一本なのでは。

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