最初の恋、最後の恋人の映画専門家レビュー一覧

最初の恋、最後の恋人

K-POPボーイズグループZE:A出身のキム・ドンジュンとガールズグループRAINBOWの元メンバー、キム・ジェギョンが共演したラブストーリー。気持ちを伝えられないまま離れ離れになったスンヒョンとジアは、7年後に再会。恋が再燃するが、二人は病に侵され……。アルツハイマー病と診断され記憶を失っていきながらも一人の女性を懸命に愛するスンヒョンをキム・ドンジュンが、余命宣告を受けながらも愛する人の前で笑顔を見せるジアをキム・ジェギョンが演じる。
  • 映画評論家

    上島春彦

    日本映画もそうだが、業界を代表する美男美女が冒頭から高校生に扮して現れる企画は間違いなく空振りに終わる。もちろんこれらの韓国人俳優には何の罪もない。こういう作品を作らせてしまう社会が悪い。若者は若年性アルツハイマー。女性は末期の胃癌を患っている。即ちダブル難病物ということになり、困難も二倍で作り方によっては興味深い映画になっただろうが、概ね周囲があれこれ差配してくれて本人は怒ったフリをした後、それに従うだけ。感動させるポイントを欠いた構成。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    いわゆる王道な韓国の恋愛映画だが、あまりにも通俗的な不幸エピソードのオンパレードで辟易した。恋人関係の男女が残り幾許の日々を共に過ごすために、単に同居するだけではなく婚姻関係を結ぶ必然性やそこに至るプロセスも十分に示されず、共に病を抱える二人が困難な状況でケアし合う中で起こる事態も予想がついてしまう。自立した大人同士の恋愛ではなく、彼らがかつてすれ違った高校生時代の夢見がちな恋愛を再演しているように見えた (それを意図しているのかもしれない)。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    本作は難病患者と難病患者が外圧に見える運命によってカップルになるという、多重難病ものであり、いわば難病映画界の頂上決戦、ゴジラ対キングギドラである。そしてそれは人類が長い歴史をかけて育んだ、人類を人類たらしめている、あの偉大なる何かを語り継ぐための「物語」というよりも、人間の脳に直接刺激をもたらす化学物質や電気ショックに近い。人生のあらゆる余剰や過程がことごとく省略・簡略化され、ものの数秒で人間を深く感動させるアプリが発売される日もすぐそこだ。

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