潜水艦クルスクの生存者たちの映画専門家レビュー一覧

潜水艦クルスクの生存者たち

2000年にロシアで実際に起きた原子力潜水艦事故を映画化。軍事演習のため出港した原子力潜水艦クルスクの魚雷が暴発し、炎が艦内を駆け巡る。司令官ミハイルは爆発した区画を封鎖し、部下と安全な艦尾へ退避するが、艦体は北極海の海底まで沈没していた。出演は、「レッド・スパロー」のマティアス・スーナールツ、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のレア・セドゥ、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」のマックス・フォン・シドー、「英国王のスピーチ」のコリン・ファース。監督は、「アナザーラウンド」のトマス・ヴィンターベア。脚本は、「プライベート・ライアン」のロバート・ロダット。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    これがたった20年ぐらい前の実話だったっていうのが驚き。ついこの間こんなひどいことが起きていたのだ。導入は見事。すぐに爆発が起こって話が始まる。展開が早くていい。困難に次ぐ困難で息をもつかせぬ。主人公の男が、実にしっかりしたリーダーで惚れ惚れする。男たちの友情話もグッとくる。みんな死にそうになって、太った男がシロクマのアホな話をするのが良かった。ラストはびっくりした。フィクションとして史実を曲げるわけにはいかなかったのだろうか。無残だ。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    救いのない結果が待っているのをわかっているからこそ見ているのがとても辛い。どんなに奮闘しても、その先に何が起こるかを知ってしまっているから、彼らの歌が辛く響く。同時に、極限状態に追い込まれ連帯するしかないこの状況を、美しいなどとは決して言いたくない。待つ側の苦しみが窒息していく苦しみと重なりゆく。母親としての貫祿がありレア・セドゥが一瞬誰だかわからなかった。この事故の裏でプーチンが休暇を満喫していたことも映画とともに忘れずに記憶しておこう。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    救出を待ちながら死んでいった潜水艦の乗員たちの最期をもとに、手に汗握る感動のドラマを作り上げよう。きっと司令官は全員で生き延びるために身を賭したことだろう。死の恐怖から冷静さを失い、無謀な脱出劇を試みようとした者が、みなが心身ともに弱っていくなか、つまらないジョークで場を和ませた者がいただろう。最後は新人がヘマをしでかして終わったのだろう。なんて品のない想像力だ。これではただの死者への冒?と思える。時代錯誤の反共プロパガンダのまがいもの。

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