エコー・イン・ザ・キャニオンの映画専門家レビュー一覧

エコー・イン・ザ・キャニオン

    1960~70年代にかけ多くのミュージシャンが暮らし、互いに刺激し合い、数々の名曲を作り上げた、ウェストコースト・ロックの聖地ローレル・キャニオンに焦点を当てたドキュメンタリー。現代にも影響を与え続ける1960年代のカリフォルニア・サウンドを紐解く。ボブ・ディランの実子でジェイコブ・ディランがホストとなって、『ザ・ビートルズ』のリンゴ・スター、『ザ・ビーチ・ボーイズ』のブライアン・ウィルソン、エリック・クラプトンらミュージシャンたちへインタビューを行い、当時の音楽に影響を受けた次世代のミュージシャンらによって数々の名曲が現代に蘇る。
    • 米文学・文化研究

      冨塚亮平

      数多の偉大なバンドが集い名曲群を生み出した激動の時代を関係者たちが振り返るインタビューパートはもちろん、ベックやフィオナ・アップルなど豪華ゲストが集う、当時の名曲群を演奏するライブパートもとにかく楽しい。なんの説明もなく終始画面に映り込む、リンゴ・スターやブライアン・ウィルソンにも気軽に接する、やたらと不遜な態度のインタビュアー兼演奏家が誰なのか最後までわからず大変もやもやするも、エンドロールで名前を見て全てを納得。たしかに雰囲気も似ている。

    • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

      降矢聡

      エコーとは「アイデア、感情、スタイルや出来事の類似、または繰り返し」であるという。それはもちろん60?70年代にかけて、多くのミュージシャンたちが影響を与え合いながら、カリフォルニア・サウンドと呼ばれる音を作り上げたことを指している。しかし本作の美徳は、その時代、その場所で鳴っていた音楽の残響を聞き取り、現代にまた響かせようとすることだ。古き良き時代を懐かしむのでもなく、羨むのでもないその姿勢はカリフォルニアの風景のように開放的で実に爽やか。

    • 文筆業

      八幡橙

      才能と才能が響き合う60年代のローレル・キャニオン。フォークとロックが初めて融合された瞬間や、ザ・ビートルズやザ・バーズなど伝説のバンドが互いに触発し合ってヒットを生み出す過程が、新たな世代の奏でる彼らの名曲と共に再現されてゆく。ジャック・ドゥミの「モデル・ショップ」から着想を得たというジェイコブ・ディラン。彼の歌声や、静かに相手の声に耳を傾ける佇まいがいい。明るく突き抜けているのに刹那的な哀愁も帯びている、この時代だけの輝きが印象的。

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