MAYONAKAの映画専門家レビュー一覧

MAYONAKA

アメリカインディーズの気鋭ロバート・カプリア監督が、新宿を舞台に撮り上げたヒューマンドラマ。歌手を夢見ていたが、今は夢も居場所も失ってしまったクミ。一方、社会の歯車の中で心を病むサラリーマンのアキラ。2人は偶然、新宿で出会い、心の距離を縮めてゆく。クミを、和楽器ヘヴィメタルバンド“KAGURAMUSOU”のヴォーカリストである暁月ななみ、アキラを「涯てへの旅」の高城ツヨシが演じる。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    最初のカットが怖かった。ホラーなのかと身構えた。自殺志願の女の子が、「今日処女を捨てる」とモノローグが入るとこでワクワクした。ケーキの食いっぷりが凄まじかった。彼女と心を病んだサラリーマンの一夜の物語。2人は、なかなか出会わない。早く出会えよ!とツッコミを入れる。時々入る音楽がいわゆる外国人が考える日本っぽい。芸者、寿司みたいな。2人の設定がナイーブすぎて、80年代でも古いと思われるような設定で、これはどうかと思った。変な映画だった。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    孤独な男と女の出会いがマッチングアプリというのはいさささか安易すぎないだろうか。誕生日に処女喪失するか自殺するか。これもまた孤独な少女の物語としては典型である。少女と中年男性の会話から親密さを感じない。男の自分語りが多すぎてなんとなくしらけてしまう。そのハイテンションぶりがラストシーンへの布石だとすると、なるほどと思う部分もあるが、すこし雑だ。ただ、この映画のアンニュイで、官能的なインディーズ映画の空気感を作り出すことには成功しているだろう。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    冒頭の後退移動で嫌な予感はしたが、その後の「私は21歳で、処女です」のオフのつぶやきでほとんど確信に変わった。「今日は21歳の誕生日。今日中に処女を捨てられなければ、私、自殺します」。自撮りでそう誓う孤独な少女が、仕事と人生に行き詰まった40代の既婚中年男性と出会う。おじさんファンタジーのあられもない垂れ流し、まったく見苦しいかぎりである。なお、アジア人の顔を「能面」「感情がない」などと平気で形容してしまうあたりに監督の差別意識が露呈している。

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