PIG/ピッグの映画専門家レビュー一覧

PIG/ピッグ

ニコラス・ケイジ主演のミステリアスなドラマ。オレゴン州。トリュフハンターのロブは、森の奥でブタと一緒に孤独な生活を送っていた。ところがある日、彼のブタを何者かが強奪。その行方を追って街へ出たロブは、壮絶な自分の過去と向き合うことになる。共演は「オールド」のアレックス・ウルフ。「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2022」にて上映
  • 映画評論家

    上島春彦

    タイトルはトリュフ狩りのための豚のこと。画面も周到で美しく、物語の展開の意外性も文句なし。ただしネタバレだから書けないが、謎が小さすぎてちょっとね。70分程度でさらっと語られるべきストーリーじゃないかな。パートを区切ったのもかえってもったいぶった印象あり。人間よりも豚を愛するニコラス・ケイジという、まさしく絶妙なキャラが傑作なので潜在的にはもっと★が増える可能性もあった。総括すると、もっと「いい話」で良かったんじゃないかな。惜しい仕上がりなのだ。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    「慟哭のリベンジスリラー」の惹句が誘引するようにバイオレンスと狂気に満ちた復讐譚を予感させるルックでありながら、豚と一人の男の愛の物語であり、お料理映画でもある。そんな期待への裏切りがこの映画に大きく関与する。だから暖かな橙色の光に照らされて調理に勤しむシーンも、血みどろのアクションが繰り広げられていたかもしれないレストランの中央のテーブルで黙って対峙する男たちの姿も、どこかおかしみがある。豚との愛の物語が比喩となる凡庸さを除けば優れた逸品。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    近年勃興した「ニコラス・ケイジ」という映画ジャンルがある。「マンディ」や「カラー・アウト・オブ・スペース」などがそれにあたる。その多くは、薄暗い森に住む隠遁者ニコラス・ケイジが何者かに大切なものを奪われ、血だるまにされるも、まがまがしい音楽に乗って出陣し、無事復讐をとげるというものである。一本一本が見わけづらいという欠点に目をつぶれば、このジャンルの映画はおしなべて打率が高く、大切なトリュフ・ピッグを奪われるニックを追う本作もそんな一本である。

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