唄う六人の女の映画専門家レビュー一覧

唄う六人の女

パフォーマンス集団キュピキュピの主宰で「ミロクローゼ」やドラマ『オー!マイキー』などを手がけた石橋義正監督によるサスペンススリラー。亡父の山を売却する萱島と開発業者の下請け・宇和島は事故に遭い、気付くと奇妙な六人の女たちに監禁されていた。『イチケイのカラス』の竹野内豊と「はるヲうるひと」の山田孝之が正反対の性格である萱島と宇和島を演じ、美しく奇妙な六人の女を「滑走路」の水川あさみ、東京2020オリンピック閉会式でソロパフォーマンスを披露したダンサーのアオイヤマダ、「ミッドナイトスワン」の服部樹咲、「N号棟」の萩原みのり、「消せない記憶」の桃果、「真・鮫島事件」の武田玲奈が演じる。
  • 文筆家

    和泉萌香

    飲み込まれそうに鮮やかな緑色が犇いて、突如出現した謎めいた女が虫をぱくり……<禁断の地>へ誘われて監禁される男たちの物語、へ抱く予想と期待にそって、映画は恐ろしくスリリングな快走スタートをきる。和服姿もいればワンピース姿の者もいて、だがカラコンはお揃いの女たちは、自然界とはまた別の裂け目からやってきたような妖しい存在感をそれぞれ発揮。そんな彼女たちと、びくびくしながらもどこかおっとりとした風の竹野内豊演じる主人公が与える安心感のバランスが面白い。

  • フランス文学者

    谷昌親

    現代社会に対して重要なメッセージを突きつけつつ、エンタテインメント性を置き去りにしていない映画ではある。だが、結果的にはどっちつかずの作品になってしまったという印象は否めない。物語としての構築性はそれなりにしっかりとしている。だが、6人の女がそれぞれただの象徴にとどまり、俳優の演技とは裏腹に、薄っぺらな存在に見えてしまうのだ。そもそも、森にいるのがなぜ「女」でなければいけないのか? そうした発想もただ古めかしく感じられてくるばかりだ。

  • 映画評論家

    吉田広明

    山奥の屋敷周辺の森が二人の男を閉じ込める迷路と化す。そのカギを握るらしき六人の女。狂気の父の遺した写真や、過去とも未来ともつかないイメージ、女たちの不思議な生態など、森の謎と女たちを描く映像美。しかし映像美なんて胡散臭いと思っていると案の定、謎が割れると神秘のポテンシャルが尽き、急に環境保護の社会批判となって底が見えてくる(そういうことなら何故そもそも女性しかおらず、父親が運動を息子に隠す必要があるのか)。やはり映像美など映画にとってただの逃避だ。

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