人質 韓国トップスター誘拐事件の映画専門家レビュー一覧

人質 韓国トップスター誘拐事件

「ただ悪より救いたまえ」「国際市場で逢いましょう」など数々のヒット作に主演した韓国の俳優ファン・ジョンミンが自身を演じたサスペンス・アクション。猟奇殺人事件を起こした凶悪集団に誘拐されたファン・ジョンミンは、秀でた演技力を武器に脱出を図る。監督は、本作が初長編のピル・カムソン。共演は、『イカゲーム』のイ・ユミ、『梨泰院クラス』のリュ・ギョンスほか。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    ファン・ジョンミンになんらかの個人的な思い入れがあれば見え方が多少変わった可能性はあるが、終始あまりのめりこめず。自身を演じるベテラン俳優の演技力が脱出の鍵となるという、相当に負荷の高い設定を新人監督が採用したせいもあるのか、やや主役の演出において監督側に遠慮があったようにも感じた。それなりに意外性のある転調が続く物語はサスペンスとしてはある程度は上手くいっているし、キム・ジェボム演じるサイコパスめいたリーダーの存在感も悪くはなかったのだが。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    手足を縛られて監禁されている状態からどのように抜け出すか、という誘拐ものの映画にとってとても重要な場面に、演技という要素を入れてはいるが、はたして韓国トップ俳優が人質に取られるというアイデアが、映画全体に効いていたかというと、ちょっと疑わしい。また、わざわざ手作りをしてる描写もあるくらい武器に気を使っておきながら、せっかく手に入れた銃器をなんの考えもなく手放して、形勢が逆転してしまうなど、展開の転がし方にも気になる点が多々あったのが残念。

  • 文筆業

    八幡橙

    ファン・ジョンミンでなくては成立しえない映画だ。実績や人気はもちろん、善良で清廉潔白な人物だという揺るぎないイメージ、さらにほぼ全篇手足を拘束されながらも表情一つで弛むことなき緊張を持続させうる演技力の持ち主といえば、もう一択。何より、彼だけが持つ親しみ易さが最大の肝に。これが例えばチェ・ミンシクでは、犯人の方がビビりそうだし。そうした匙加減の妙やアクション愛が随所に光る快作だが、実在人物ならではの綾やひねりが終盤、さらに一山欲しかった気も。

1 - 3件表示/全3件