アザー・ミュージックの映画専門家レビュー一覧

アザー・ミュージック

    1995年に開店し、2016年に閉店したニューヨークの伝説的なレコード店“アザー・ミュージック”の最後の日々に迫ったドキュメンタリー。オーナーやスタッフ、店に縁のあるミュージシャンらへのインタビューと、インストアライブ映像でその歴史を辿る。監督は、かつて同店のスタッフと常連客として出会った気鋭のドキュメンタリー作家コンビ、プロマ・バスーとロブ・ハッチ=ミラー。2019年トライベッカ映画祭上映作品。
    • 映画評論家

      上島春彦

      タイトルはお店の名前。そうじゃない音楽、という感じかな。マイナーというのとも違うトンがった音楽を提供する場がかつてNYにあった。コロナ禍以前に収録された映像だというのは冒頭から分かる。こんな具合に「口角泡を飛ばして」店員とお客さんが議論できる世界はもう来ないのかもしれない。そう思うと懐かしさとも違った複雑な感情を抱く。多くの音楽ファンに見ていただきたい逸品。コメントもたっぷり。しかしそういう音楽に何の興味もない私には辛かったか。故に星も伸びず。

    • 映画執筆家

      児玉美月

      音楽業界と領域は違えども、愛されたレコードショップの終わりを通して、視聴形態の多様化の時代における映画館という場所が持つ価値や機能について思いを馳せた。劇中で最も印象深かったのは、床の塗装の?げ具合によってどの棚が人気なのかが可視化されると語っている場面。破壊されていく店を見つめる男の表情にカメラが揺れながら寄った瞬間にドキュメントがあり、音楽業界やこのレコードショップに馴染みのない観客も様々な問題へと敷衍して考えさせられる普遍性を携えている。

    • 映画監督

      宮崎大祐

      2016年にその20年にわたる歴史に幕をおろしたNYの伝説的レコード・ショップ「アザー・ミュージック」。このマイナーたちの聖地の常連であった俳優のジェイソン・シュワルツマンが語るように、何かに本気である人間たちの話ほど興味深いものはない。たとえ、忘れえぬテロに遭遇しても、時代の荒波に飲み込まれても、ただただ音楽を愛している、そしてそれを誰かと分かち合いたい、表現したい。そんな狂おしい情念だけで全カット全コマが満たされていて、胸がいっぱいになった。

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