MISS OSAKA ミス・オオサカの映画専門家レビュー一覧
MISS OSAKA ミス・オオサカ
デンマーク、ノルウェー、日本の3ヵ国共同制作によるヒューマン・ミステリー。“別の誰かになりたい”と願う24歳のデンマーク人女性イネスは、ノルウェーで知り合った美女マリアの死をきっかけに、彼女になりすまして大阪のクラブで働き始めるが……。出演は「ビッチ・ホリデイ」のビクトリア・カルメン・ソンネ、「ボクたちはみんな大人になれなかった」の森山未來、「はい、泳げません」の阿部純子、「映画 おそ松さん」の南果歩。監督のダニエル・デンシックは、作家としても活躍するデンマークの俊英。
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映画評論家
上島春彦
横文字のせいで、タイトルが「大阪美人」を意味すると気づくのに時間が要った。外国人から見る日本が背景だというのは当然。だが、大阪という未知の文化圏に誘われるヨーロッパ人の彼女の自分探しがメイン・テーマというのでは結局、異文化がダシに使われているだけという限界はあろう。カプセルホテルが珍しいみたいで、この手の映画にはかなり登場する。最初から現れる謎の日本系フランス美女の正体が鍵だがとても薄っぺらい。スケールが大きい割に展開がせせこましい感じだ。
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映画執筆家
児玉美月
男を介して出会った女二人がお互いに歪み合い、キャットファイトを繰り広げてゆく……というクリシェを予感させるムードを覆して関係を結ぶオープニングと、ソフィア・コッポラの「ロスト・イン・トランスレーション」とレオス・カラックスの「ホーリー・モーターズ」が溶け合ったようなラストシーンだけを観れば十分に傑作になりえたかもしれないが、その中間で行われる「ブレット・トレイン」さながらの異質な日本で行われる展開が彼女の“気づき”を誘引するにはやや弱いのでは。
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映画監督
宮崎大祐
「ロスト・イン・トランスレーション」にしろ「バベル」にしろ、筆者は外国人監督が日本の風景をとらえた作品がなんだか好きである。それはそうした作品が己の日々生きる景色に外的な視座を差し込んでくれるからかもしれない。ノルウェーのカメラマンがとらえた本作の大阪には北欧のオーロラや雪原に負けぬ艶があり、ヒロインのヴィクトリア・カルメン・ソンネをはじめ俳優たちはいずれもたいそう魅力的に写っている。だからこそ後半の展開をもうひとがんばりしてほしかったのだけれど。
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