Sin Clockの映画専門家レビュー一覧

Sin Clock

窪塚洋介が18年ぶり長編映画単独主演を務めるクライム・サスペンス。家庭にも社会にも居場所を失ったタクシー運転手の高木は、人生の一発逆転を賭け、同僚たちと共に巨額の黒い金につながる絵画強奪計画を計画するが、事態は思いもよらぬ方向へ……。共演は「HiGH&LOW THE WORST X (クロス)」の坂口涼太郎、「君は永遠にそいつらより若い」の葵揚。監督の牧賢治はこれが商業映画デビュー作となる。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    窪塚洋介が何をやってもうまくいかない前半戦の密度にいやが上にも期待が高まる。現代の犯罪ってこうやって起こるんだよなという説得力。が、ここからがいただけない。いざ犯罪になったらグダグダもいいところ。計画は杜撰極まりなく、出てくる人皆バカ。というか皆捨てキャラで誰も生きてない。いや、失敗を宿命づけられた犯罪映画でもいいのだ。でもそれだって成功しそうな要素はないと。犯罪話に入るのが遅いし。演出力はあるんだから、シナリオをちゃんと作りなよ。残念な映画の典型。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    犯罪サスペンスなのだが、3人のタクシー運転手による名画詐取計画が動き出すのは映画の中盤から。前半は運転手たちの転落の道のりと荒んだ生活ぶりを丁寧にゆっくりと見せていく。後半はテンポが一転。電光石火で犯罪計画が立てられ、猛スピードで実行へと走りだす。簡単に騙される政商の脇の甘さなど、現実離れしたところは多々あるものの、一気呵成に見せて、まさかの結末へと向かう。この転調が果たして効果的なのかどうかは疑問だが、人物一人ひとりはよく描けている。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    標的にされる強欲な国会議員をはじめ、危機管理意識の甘すぎる人物ばかり登場するため、いかに犯罪計画が時間に正確で緻密に練られたものであるかを、少々細かすぎるカット割りで強調されても、それが予期せず狂っていく衝撃やスリルのようなものに直結していない。はまり役の三者それぞれの事情はなかなかに興味がそそられるものゆえ、無国籍感が新鮮な神戸のロケーションをバックに、奇妙な運命のめぐり合わせで出逢った個性派トリオ内の物語をこそ、もっと観てみたかった。

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