ウーマン・トーキング 私たちの選択の映画専門家レビュー一覧

ウーマン・トーキング 私たちの選択

ボリビアで起きた実在の事件を元にしたベストセラー小説をサラ・ポーリーが映画化。自給自足の生活を送るキリスト教一派の村で連続レイプ事件が発生。これまでそれを“悪魔の仕業”と男たちに否定されてきた女性たちは、自らの未来を懸けた話し合いに臨む。出演は「ナイトメア・アリー」のルーニー・マーラ、「蜘蛛の巣を払う女」のクレア・フォイ、「彼女たちの革命前夜」のジェシー・バックリー、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のベン・ウィショー、「ノマドランド」のフランシス・マクドーマンド。
  • 映画評論家

    上島春彦

    レイプ、DV、性同一性問題などの重いテーマをまとめ上げているのは評価したい。撮影も美術も編集も素晴らしい。最も凄いのは思いがけない名曲が流れるシーンで、ここには完璧にやられた。必見。問題はいくら特殊な宗教コミュニティ内部の話だからといって、ディスカッションがあまりに陳腐な内容に終始することだ。というか、皆さん感情的なだけでディスカッションになっていない。スタッフと俳優が自らの映画的使命に酔ってしまっているので(確かに立派なことだが)観客は辛い。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    ほとんどワンシーンの会話劇といってもよい本作において、サラ・ポーリーはその舞台である納屋の空間を女性たちが立たされている境遇に合わせて閉塞的に見せるのでなく、寧ろ広がりを持つよう演出している。本作は性暴力やハラスメントを扱う女性作家による近年の「プロミシング・ヤング・ウーマン」「69歳」「SHE SAID/シー・セッド」「アシスタント」などと同様、直接的な暴力描写を扇情的に差し込むのではなく、女性たちの語りそのものに注視させる作劇法の作品群に連なる。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    タイトルの通りワン・シチュエーションの会話劇だ。小気味の良いポリフォニックな言葉の往来は時に思想が前景化しすぎるが、それを聞かせるための工夫は充分になされていて、隅々まで気配りの行き届いた強いカットはもちろん、登場する俳優たちがいずれも素晴らしい。そもそもルーニー・マーラとベン・ウィショーの共演を見たくない映画ファンなどいるだろうか。「逃げるのではなく離れる」では、仲間もおらず外部もない場所にたたずむ女性たちはどうしたら良いのか考えていた。

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