デスNS インフルエンサー監禁事件の映画専門家レビュー一覧

デスNS インフルエンサー監禁事件

謎の男に拉致された人気インフルエンサーが体験する恐怖を描くスリラー。インフルエンサーのケリーは異様なマスクを被った男に拉致され、SNSで1時間以内に1000いいねを獲得するよう命じられる。課題をクリアするが、男の要求はエスカレートしていく。出演は、新星マリー・ルチアーニ=グリマルディ、共同脚本も手掛けた「サンタキラーズ」のサイモン・フィリップス。監督は、TV界出身のジェイミー・ベイリー。
  • 映画評論家

    上島春彦

    監禁ゲーム映画のファンなら見ておくべき。残虐描写はないので安心を(というのもヘンか)。だが映画慣れした方ならば展開が読めるだろう。原題「ディインフルエンサー」とはインフルエンサーの在り方を否定しているわけだ。SNS社会への異議申し立てという発想は理解できないでもない。しかしちょっとぐらい目的が高邁でも、やってることは洗脳ではないか。娯楽として楽しめるレベルを逸脱している。これを見た人は有名なパトリシア・ハースト誘拐事件の顛末を思い起こすだろう。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    人気インフルエンサーが突如監禁され、制限時間内に規定のいいね数を稼ぐゲームを強いられる……どこかで聞いたような展開ではあるが、荒唐無稽さに乗っかりながら途中までは楽しめる。痛い描写がことごとく省略されているのも、グロ描写を避けて心理戦に重きを置くためなのだと納得できれば期待が高まるものの、あまりに教育的というか説教臭すぎるオチには鼻白む。SNSやインフルエンサーを「悪」のみで断罪しない、予想を裏切ってくるような要素が僅かでも介在してほしい。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    手を抜いた暴力に何の工夫もないカット割り、そして心底どうでもいいオチ。こんなものをこのご時世に90分以上眺めさせられている私は一体何なのだろうかという存在論的な問いに陥った。こうしたお戯れを職務上の必要に駆られて年に数回見るたびに思うのだが、我が国の専売特許だと思っていた「物事をまともに考えていない大人が制作した何それ」は当然ながら広い世界にも溢れかえっていて、それをわざわざ人の時間を奪ってまで見せつけようとする営みには悪意すら感じる。

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